彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「おふくろは美人だった!!性格も良かった!!ただ、男運はなかったんだ!!」
「・・・そうなりますね・・・。」
「けっきょく騙され続け―――――――――交際2年目、同棲1年目で俺が出来た!!クソ野郎は俺が出来たとわかると大喜びしていいパパぶった!!献身的におふくろに尽くしたこともあって、おふくろは早めの産休を取った!!産まれてくる俺のために、節約とやりくりをしてくれた!!ところがだ!!」

メキ!





そこで、瑞希お兄ちゃんが中身が入っている缶ビールを握る。
ゆるやかに凹むビール缶。







「クソ野郎は、おふくろが妊娠9か月になってから、既婚者だと白状した!!」
「えっ!!?そんなギリギリになってからですか!!?」
「ああ!!おかげで堕胎もできやしない!!身重で心身に負担がかかるのをがまんしながらおふくろは、どうしてだましたのか、今後どうするつもりなのか、奥さんと離婚するのか、自分と再婚する気はあるのかと話し合った!!」
「あの・・・クソ野郎・・・!!だから、『既婚者と知った上で瑞希を産んだ!!』と、ほざきやがったのですね・・・!?」
「なに!!?あのクソ野郎、凛にそう言ったのかっ!!?」
「は、はい!」
「マジで便所のクソ虫以下だぜ!!」







ギリッと歯ぎしりすると、瑞希お兄ちゃんは言った。







「クソ野郎がギリギリまで既婚者だと白状しなかったのは、おふくろに逃げられないためだった!!」
「瑞希お兄ちゃんの遺伝子の一部とは思えないほどクソですね・・・」
「おお、クソッたれだ!!
「堕胎できねぇし、おふくろも――――――――――赤ん坊を殺す気になれなかったらしいから・・・・・産んでいいとほざく親父に産むと伝えた!!」
「はあ!?産んでいいとか、上から目線!?何様ですか!!?」
「檜扇二三人様だとよっ!!」







吐き捨てるように言うと、ビールを飲み干す瑞希お兄ちゃん。
好きな人は、缶から口を放すと言った。








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