彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「おふくろは!!2人で産む約束はしたけど、既婚者なら話は別!!クソ野郎が離婚しないっていう以上、シングルマザーになるとおふくろは言った。それにクソ野郎の返事は、離婚するでも、シングルマザーを認めるでもなく、おふくろに『愛人契約を結ばせる』ことだった!!」
「はあ!!?妊娠後に事後報告で既婚者だと知らされた上に、愛人契約ですと!!?」
「そうだよ!!だからおふくろは『ふざけんな!!』と、クソ野郎を叩き出して、親父名義の家から行政の母子寮に即引っ越しだよ!!」
「ちゃんと慰謝料もらいましたか!!?」

「もらってねぇ!!」

「なぜです!!?だまされたのに、泣き寝入りしたのですか!!?」
「凛、オメーは、昼間の鳥恒さんの暴露話を聞いてどう思った?」
「え!?ひどいと思いました!」
「身内になりたいか?」
「はあ!?死んでもごめんですよ!!って――――――――――――あ!!?」
「そういうことだ。」

メキメキ!







空になったビール缶を、縦につぶしながら瑞希お兄ちゃんは仰った。







「金は稼げば何とかなるが、戸籍は簡単に扱えるもんじゃない。異常な一族と、血だけじゃなく、戸籍の上でも縁ができちまうのを、おふくろは危険だと判断したんだ。行政が紹介した弁護士と探偵がアタリで、檜扇家と高野家がどれだけどす黒くて悪質かをおふくろに教えてくれた。すべてを知ったおふくろは、クソ野郎からの認知を拒否し、金は一切受け取らないで逃げる選択をしたんだ・・・!!」
「そうだったのですか・・・」
「もっとも、逃げて転移した先の病院で、死んじまうのは――――――――おふくろ的には予想外だっただろうけどな・・・。」
「!?・・・お悔やみを申し上げます・・・!」
「・・・ありがとうな。」







そんな言葉にあわせ、私の頭に手を置く瑞希お兄ちゃん。
ダメだとはわかっていたけど―――――――――気になったので聞いてしまった。









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