彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)






「あの・・・お母様が亡くなられた後、瑞希お兄ちゃんはどのような生活を・・・?」
「・・・おふくろは母子家庭で、ばあちゃんが4つぐれーまで育ててくれたが、ガンで死んじまった。その後は施設暮らしで、いろんな家に行かされては、施設に帰ってくるの繰り返しで――――――そういう生活の中で、烈司に会ったり、事件に巻き込まれたり、烈司と再会してからは、施設じゃなくて、烈司の家に居候させてもらった。マジで、烈司のご両親には感謝してもし切れねぇし、恩返ししなきゃいけねぇ御2人だと、ガチで尊敬してる。」
「そうでしたか・・・それで烈司さんと―――――――え!?事件!?事件って何ですか!?」






聞き捨てならない言葉を聞き返せば、相手は笑顔で言った。





「凛、ノンアルコールビール、飲まないのか?飲まないなら、俺が飲んでもいいか?」
「え!?え、ええ!瑞希お兄ちゃんさえよろしければ―――――――じゃなくて!!事件って、大丈夫だったのですか!?」
「大丈夫だから、今凛の隣にいるんだろう~?」
「そうですが!まさか、檜扇家がらみですか!?」
「世の中には、変態が多いってだけの話だ。」
「気になるキーワードだけ言って、本題を内緒にするようなことしないで下さいよ!!」
「凛だって、自分の家族の話はしねぇじゃねぇーか?」
「っ!!?」





それで何も言えなくなってしまう私。
そんな私を見て、苦笑いしながら好きな人は言う。






「わりぃ。意地の悪いこと言ったな?」






私からノンアルコルビールを取り上げると、缶を持つ手とは反対の手が私を抱き寄せた。






「弟に八つ当たりして、悪い兄ちゃんだな。」
「そ、そんな!瑞希お兄ちゃんに悪いところなんてないです!!」
「あるね。ヤンキーした時点で、世間的には悪なんだ。」






そう告げて、私が口をつけた飲み物を口に運ぶ瑞希お兄ちゃん。







(また瑞希お兄ちゃん・・・自分をディスることを言う・・・)







しんみりする空気の中で私は気づく。








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