彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「優しいから・・・・・その優しさに付け込まれないような、強い気持ちを持つ子だった。優しいから断れないじゃなくて、優しいからこそ断る勇気を持ってた子だったって・・・ばあちゃんが言ってたな。」
「優しいからこそ断る勇気を持ってた子・・・。」

なんか・・・・

「カッコいいですね・・・!」
「・・・俺もそう思う・・・!」







それでどちらともなく、声をあげて笑う私達。
瑞希お兄ちゃんが笑顔になったことで、嬉しさと安心感でいっぱいになる私。







「優しくて強いって、最強ですね!?」
「おう。あと・・・誰にでも平等で、親切で、気さくで、性格が良い上に、仕事もできたし、家事全般もできて、金銭管理もしっかりしてたって聞いた。」
「それで美人さんなら、完璧じゃないですか!?いいなぁ~!僕もそんなお母さんが良かったなぁ~!」
「・・・羨ましいか?」
「羨ましいです!!」
「少しは・・・・・・おふくろに似てるところあるかな、俺?」
「似てますよ!!優しくて強いところ!!ちゃんと受け継いでますよ!!瑞希お兄ちゃんが、お母さん似でよかったです!!」
「・・・そうだな。おふくろに・・・似てるなら、よかった・・・。」







瑞希お兄ちゃんの手が、瑞希お兄ちゃんを抱きしめている私の手に重なる。







「おふくろ似でよかった・・・!」







かみしめるように言う瑞希お兄ちゃんに切ない気持ちになる。







「瑞希お兄ちゃんは・・・お母様にしか似てませんよ。」







そう伝えて、背中に顔をうずめれば、重なっている手を強く握られた。
子供は親を選べない。
私も親を選びたかったけど、瑞希お兄ちゃんの方がその気持ちが強かったんじゃないのかと・・・瑞希お兄ちゃんから伝わってくる体温を感じながら思った。








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