彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)



「あーあ!ちーちゃんがリンリンを家まで送りたいのに~」
「ごめんね、ちーちゃん。送迎はヤマトと心に決めてるんだよ。」
「くっ!ラジオ野郎め・・・!人の良い凛さんの心をたぶらかすとは――――――!俺だって、凛さんの送迎をしたいのに!」
「いや、たぶらかされてませんよ、可児君?気持ちは嬉しいけど、ヤマトで良いですから。」
「うははは!凛に好かれてて、ながちゃんもハゲ君も、ごめんやしておくれやしてごめんやしー!!」
「鬼ムカ系!!」
「だから五分刈りだボケ!!」



そんなやり取りをしているうちにガレージが開く。
見れば、獅子島さんがワンクリックで開けてくれていた。



「五十嵐、さっさと凛道を連れて出ろ。車が出せん。」
「獅子島さん、こんな時間にお出かけですか?」
「シゲ先生と鳥恒先生をご自宅までお送りするのだ。」
「ごめんね、伊織君。ありがとう。」
「助かるよ、獅子島伊織君!」



獅子島さんの言葉にお礼を言う老人2人に、メガネをかけた美形は言った。



「当然のことをするまでです。後輩の凛道蓮を助けて下さった上に、檜扇家と高野家の情報提供をして下さいました。礼儀はつくす所存です。」
「俺からもお礼を言わせて下さい、シゲ先生、鳥恒さん。」
「瑞希お兄ちゃん!」
「俺のおふくろをはらませたクソ野郎がヤバいのは知ってましたが、祖父母の代から一族総出であぶねぇとは知らなかったので、教えてもらえて助かりました。」
「真田瑞希君!!くれぐれもどうか、あの女を助ける真似をしないでくれ!!」
「わかってます。約束は必ず守ります。俺の血肉をババアに渡す真似はしません。」
「ああ、よかった!!その言葉を聞けて、本当に良かった!!まだまだ、長生きができそうだよ!!ありがとう!!」



そう言って、しっかりと瑞希お兄ちゃんの手を握り締める鳥恒先生。





「約束したからな!!?絶対だからな!!?約束破ったら、当てつけにわし、死ぬからな!!?遺書に真田瑞希君が約束破ったって書いて死ぬからな!!?」
「え?ちょ、待っ・・・!」
「瑞希お兄ちゃんに脅迫まがいな発言しないで下さい!!」





〔★鬼気迫るものがあった★〕









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