彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)




「光憲君、落ち着きなさい。」
「シゲちゃん!!?」




興奮するご老人を、別のご老人がなだめながら言った。





「瑞希君は約束は必ず守る子です。何も心配いりませんよ。」
「わかってる!!わかってるけど、期待を裏切られ続けた人生だったから、ちょっと疑心暗鬼に――――――あ!?凛道蓮君もドナーになっちゃダメだぞ!!?約束守ってくれないと、わし、自害するからな!!?」
「軽々しく自害とか言わないで下さい、鳥恒師範!!そうですよね、凛さん!?」
「そうですよ、可児君の言う通りです!守りますから!!お約束しますから、自分の命を恫喝の道具に使わないで下さい!!」
「か弱い老人に誓ってくれるか、凛道蓮君!!?」
「誓います!!!」

てか、どこがか弱いんだよ、どこが!!?

檜扇家と高野家のSP投げ飛ばすほど元気いっぱいだったくせに!!





〔★都合のいい時だけ、か弱いアピールをしている★〕





「うははは!凛、凛、りーん!後ろ、乗りー!」





準備ができたヤマトが、単車にまたがった状態で手招きする。





「で、では、目上の方がいるのに申し訳ないのですが~お先においとまさせて頂きます!」
「気にしなくていいよ、蓮君。」
「はははは!本当に礼儀正しい良い子だ!!なので、信じたぞー!!」
「恐縮です、シゲ先生、鳥恒先生。」
「凛さん、どうかお気をつけて!」
「リンリン、ヤマトっち、またねぇー♪」
「ありがとう。バイバイ、可児君、ちーちゃん。」





そう伝え、ヘルメットを着けてヤマトの後部座席に腰を下ろせば、初代の先輩達が私を囲む。





「またな、凛たん♪五十嵐、凛たんを無事に運べよ。」
「凛ちゃんと別れるのはさみしいけど、また会えるものね~さよならのチューよ、ん~ちゅ♪」





チューからハグをすると、頬ずりしてくるモニカちゃん。





「わっ、くすぐったいよ、モニカちゃん。」
「凛道、絶対に油断するなよ?くれぐれも、尾行には気をつけろよ、五十嵐。」
「わはははは!すぐに面出せよ、オメーら!!」
「はい!烈司さん、モニカちゃん、獅子島さん、百鬼さん、失礼します。」


「凛!」
「瑞希お兄ちゃん♪」





別れのあいさつのトリを飾るお方が、瑞希お兄ちゃんが、私に近づいてくる。
それに合わせ、モニカちゃんが私から離れる。







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