彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛、今日は疲れただろう?ゆっくり家で休むんだぞ?」
「はい、瑞希お兄ちゃんの仰る通りに致します。」
「手に負えないことが起これば、俺に言えよ?俺は凛の味方だからな?」
「ありがとうございます、お心遣いに感謝します。」
「・・・じゃあな。」
「はい・・・失礼を致します。」
どちらともなくギュッと抱きしめあう私達。
百鬼がヒューヒュー♪と冷やかしてきたがかまわない。
瑞希お兄ちゃんのぬくもりに、疲れが吹き飛ぶのを感じる。
ほどなくして、どちらともなく身体を離せば、ヤマトがエンジンをふかせた。
キュォオン!
「うははは!ほな、みなさん、さいならー!!」
「失礼します。」
―――――――キュォオオオオン!!
ヤマトの単車がガレージから発進する。
タンデムバーをつかみながら、首だけで後ろを、ガレージの方を見る。
そこには、瑞希お兄ちゃんをはじめとした面々が、外まで出て、私達を見送ってくれている姿があった。
(瑞希お兄ちゃん・・・・・。)
お目当ての人物は、ポケットに手を突っ込んだ姿勢で、こちらを見ていた。
だんだんと遠ざかっていくが、視線を逸らせない。
瑞希お兄ちゃんも、私を見つめている気がしたので前がむけなかった。
けっきょく、私が前を向いたのは、建物が完全に見えなくなってからだった。
(・・・・・・・あーあ、疲れた・・・・・・)
瑞希お兄ちゃんから離れた第一号の感想が、それだった。
(今日1日で得た、情報量が多すぎる・・・・・!)
聞かされた話、教えられた話、教えてもらった話が山ほどあった。
(瑞希お兄ちゃん・・・・・大丈夫かな・・・・。)
今日知った話を元にして、わかったことがある。
(どうして、瑞希お兄ちゃんがご両親の話を、家族の話をしてこなかったのか、よーくわかった。)
お母様はともかく、父親の方は――――――親と呼ぶのもけがらわしい。
(結婚詐欺で騙して妊娠させた挙句、愛人契約を求めるって何様よ!?)
何よりも許せないのは―――――――――――
(あの口ひげエロ親父、しゃべる内容はみんな嘘ばかり!!自分に都合のいい嘘ばかりつく!!)
その上、自分は悪くないと言い続けてる!!
他人に責任転嫁をし続けている!!