彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







(おまけに、瑞希お兄ちゃんに謝ってない!!!)

いくら、瑞希お兄ちゃんのお母様が養育費も慰謝料もいらないと言ったとはいえ、それを真に受けて踏み倒して払わないとか最低!!

(いっそ、凛道蓮個人として、檜扇二三人を制裁してやりたい!!!)







そんなどす黒い感情が心に広がる。
夜の空よりも漆黒に染めあがる怒り。





(・・・・・・落ち着け、凛・・・・・・・!)





口ひげエロ親父とその一族を抹殺したくなる感情を、どうにか抑え込む。





(この案件は――――――――何もしないことが正しいの。関わらないことで、相手はダメージを受ける。助けないで見捨てることが、最高の天罰になる。)





だから、俺は何もしてはいけない。








(ただ、真田瑞希様を守ることに専念すればいいだけ・・・!!)








そう思って、流れていく街の景色を見て気づく。







「ヤマト、道がいつもと違うよ?」
「うははは!わざと、違う道、通ってんねん!」
「え?何のために?買い物でもするの?」
「うははは!尾行されてるからに決まってるやーん!」
「なんだ。尾行されてるから、いつもと違う道を通っているのですか。そうで―――――――ええ!?」
「ふりむくなっ!!」







鋭い声でヤマトが怒鳴る。
思わず動きを止めれば、低い声で言われた。







「絶対、振り向いたらあかんで、凛!!気づいとることに気づかれる。」
「わ、わかりました!」
「うははは!とりあえず、お客さんの確認のためにも、適当な店に入ろか!?何食べたい!?」
「え!?えーと・・・・・この時間でも空いてるお店となると―――――――」
「うははは!マクドや!!」
「うん、マクドナルドになりますね・・・。」







〔★マクドナルドは、関西圏ではマクド、関東圏ではマックと呼ばれている★〕





ヤマトのバイクが、道沿いにあるマクドナルドに入る。





(尾行って・・・車?バイク?)





ヘルメットをはず動作に合わせ、チラリと後ろを見る。
私達の後から入ってきたのは数台の車で、カップルと家族連れと、高齢の夫婦などで、怪しい姿をした人は見当たらなかった。





「うははは!凛!はよう、はよう!早う入ろう!!」
「う、うん!」





ヤマトの言葉で、バイクの後部座席から降りる。
そして、関西男子と並んでマクドナルドの店内に入ったのだった。







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