彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)



「はじめまして!こんばんは、伊藤巡査さん!チョコです。」
「はい、こんばんは。名前は・・・『チョコ』、君でいいのかな?」
「そうでーす♪それでこちらが、僕のお兄ちゃんの―――――」



ギュ!

「わ!?」



「真田です。本日はよろしくお願いします。」



私を抱き寄せると、キラキラした笑顔であいさつする瑞希お兄ちゃん。
その笑顔を見て気づく。



(あ、作り笑顔だ。)



そりゃあ、瑞希お兄ちゃんも困るよね。
いくら、大原会長さんの紹介と言っても、元ヤンにおまわりさんを紹介するとか・・・



「こちらこそ、よろしくお願いします、真田さん。大原さんからは―――――いろいろ聞いてるよ。君の昔の活動のことも・・・」



そう語る伊藤巡査さん、何とも言えない表情をしていました。



(これは、瑞希お兄ちゃんが元ヤンだったことを知ってるわね・・・)



〔★警察官なら把握してる★〕



伊藤巡査の言葉に、笑顔をキープしたまま瑞希お兄ちゃんは答える。



「はい、昔はご迷惑をかけるガキでしたが、やっと人並みになれたところです。今夜も、人様の役に立てばと思い、参加しました。」
「ははは!そうなんだよ、伊藤巡査!今のサナちゃんをしっかり見てくれよ!」
「そうですね・・・。大事なのは、今ですからね。」
「もちろん、チョコちゃんの活躍も見てやってくれ! 迷惑な奴らを、片っ端から排除してくれたんだ!」
「話には聞いてましたが―――――――この子がですか?」



そうたずねる目は、私を心配そうに見ていた。
そんな伊藤巡査さんの様子に気づくことなく、得意げに大原会長さんは語る。


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