彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「お母様は、財界・政界では一目置かれる4大派閥、四天王の一角を束ねる女傑!それでいて、慈愛に満ちたお心の美しい女性!私が、いえ!すべての女性が見本とすべき素晴らしいお方なのです!!」
「・・・。」

(おいおい・・・・・変なこと語り出したぞ・・・)



「日本という国になくてはならないお方で、まだまだ長生きするべき御仁!それが今、病に体をむしばまれ、ドナーを必要としているのです!私はお義母様を死なせるような真似を決してしない!!必ずこの私が、お救い申し上げる!!そのためにも凛道蓮君!!真田瑞希君を説得して、ドナー検査を受けさせてほしいのです!!」
「・・・・もしかして未子さんは、湖亀さんのことが好きな――――」
「大好きっ!!!!」





マクドナルドの店内に、ただの未子さんの声がこだまする。
一瞬店内が静かに鳴り、視線が私達に注がれる。





「ちょ、未子さん!声が大きすぎますよ!?他のお客さんが驚いてます!あの、みなさんすみません!!大声を出してすみませんでした!!気をつけます!!」





ただの未子さんを注意しながら立ち上がり、周囲に向かって頭を下げながら謝る。
それで、こちらへ来かけた店員も足を止めてくれた。





「ごめんなさーい、凛道蓮君♪お義母様のことを考えると、つい、情熱的になってしまって・・・♪」





照れながら言う姿を見て思う。

この人、檜扇湖亀に騙されてるんだな・・・と。





「凛道蓮君、あなたが望むなら、真田瑞希君の昔の写真、いくらでもあげるわ!だからその見返りとして、ドナー検査を受けてちょうだい!」
「お断りします。」
「どうして!!?お義母様を、檜扇湖亀様を救うという名誉を放棄するというの!!?」
「鳥恒光憲さんという方をご存じですか?」
「っ!!?あのボケジジイのデマを信じてるのね!!?」

ボケジジイって・・・





鳥恒先生の名前を出した途端、穏やかな表情が険しくなる相手。
口調も荒くなったので注意した。






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