彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「ドナー検査さえ受ければ、もう僕と瑞希お兄ちゃんに関わらないと約束してくれますか?」
「受けてくれるのね!!?」
「受けません!!ドナー検査だけで済むのかと、うかがっているのですが!?」
「それは結果次第よ!!」
「結果次第?」
「そう!!ドナーとして適合すれば、協力するのは当然でしょう!!?」



(・・・やっぱりそうなるか・・・)

「つまり、檜扇湖亀さんとドナーの型が一致すれば、僕や瑞希お兄ちゃんの血肉を湖亀さんに渡せということですか?」
「当たり前でしょう!!」



(あの檜扇湖亀に、瑞希お兄ちゃんの血肉を渡す?)

「冗談じゃねぇーよ。」
「なんですって!!?」
「未子さんさ、ドナーに関する法律について知識ないの?」
「あるわよ!!なにがいいたいの!?」
「瑞希お兄ちゃんはともかく、俺、16なんだけど?」
「知ってるけど!?」
「チッ!ドナーになれるのは、18からだ。よって、俺を今すぐドナーにするのは無理だ。」







メンチを切ながら伝える。
それで私は除外され、女子だとバレることもないと思ったが―――――――







「無理じゃない。」







相手はひるむことなく、小声でささやいてきた。
さらに、こちらへと顔を近づけながら告げる。







「法律の抜け道はいくらでもあるの。だから凛道蓮もドナー検査を受けられて、適合すればお義母様にドナー提供ができるの。優しいあなたなら、弱っている老女を救うことも、ブラコンの真田瑞希を説得することもできる。お願い・・・良い子だから、言うことを聞いてちょうだい・・・!!」







危険だ。

(こいつは瑞希お兄ちゃんにとって危険だ。)







相手の話を聞き終わった時、私は動いていた。







「写真7枚、お返しします。」
「えっ!!?」







渡された写真を、キレイにそろえて、ただの未子さんの前に置きながら立ち上がる。
そして、隣でブス共とおしゃべりしている関西男子に声をかけた。







「ヤマト!!話は終わったから帰るぞ!!」
「うははは!ええで、ええで♪連絡先、みんなと交換できたからのぉー♪」







ご機嫌な返事をしながら立ち上がり、ばいばーいと、ブス達に手を振ってから私の方へ来るヤマト。
もちろんお互い、手には飲んだドリンクの空がのったトレーを持ってだ。








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