彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)



お店から出て、ヤマトのバイクまで戻る。
駐輪場所でヤマトと2人きりになったところで、私は怒りを口にした。





「クソ!!一杯食わされた気分だぜ!!」
「せやな。最高に胸糞悪いわ。悪かったな、凛。」
「はあ!?なんでヤマトが謝るんだよ!?」
「わしが恋の出会いを求めたばっかりに、嫌な思いさせてしまったやろう。」
「ボケ!それなら俺も、瑞希お兄ちゃんの写真につられた!おあいこだ!!」





我ながら、今回の件で、さすがに瑞希お兄ちゃんにつられ過ぎたと反省する私。







(わかってる!私の意志が弱いのはわかってるけど!!瑞希お兄ちゃんの昔の写真なんて――――――ダイヤモンドにプラチナ、金塊と等しいから困るんだよ!!)

それだけ魅力がある想い人・真田瑞希様。

彼のことを考えるだけで、どれほど恋焦がれる事か!!

それを利用されたかと思うと、本当に―――――――――あ!?







「ヤマト、クソ女から受け取った書類だけど―――――――」
「ああ、正真正銘のドナーの同意書や!」







そう言いながら、書類を目で追っているヤマト。







「しかも、同じものが4枚もあるで!うははは!」
「なんで4枚なんだよ!?」


「予備も含めて、1人に2枚ずつということだよ、蓮クン。」







私の疑問に、第3者が答える。
それで素早く、声のした方を見る私とヤマト。







「舟槙(しゅうま)さん!?それに、舟槙(しゅうま)さんのおじいさん!?」







いたのは、瑞希お兄ちゃんのはとこと大叔父だった。
2人は物陰から出てくると、周囲を警戒しながら言った。







「蓮クン!どうして、未子さんに連絡先を教えてしまったんだい!?」
「え!?なんで知ってるんですか!?」
「見てたんやろうー!?ちゅーか、あんたらも凛を、尾行しとったんやろうー!?」
「人聞きの悪いことを言うな!坊主と話すタイミングを見計らってたと言え!」
「ちょっと、おじいちゃん!?」







慌てる舟槙(しゅうま)さんをよそに、祖父である高野槙雄は言った。








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