彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





(・・・彼は、檜扇湖亀と自分の祖父の過去を知っているのだろうか・・・)





とりあえず、赤ちゃんのホルマリン漬けを見せつけた高野槙雄に関しては、嫌悪しかない。
鳥恒先生の話は、信用に値すると思っている。
確実に信じているとは、今日聞いたばかりなので断言できないけど――――――――――







「舟槙(しゅうま)さん、僕はあなたの味方になれません。」
「えっ!?」
「坊主お前っ!!?」







瑞希お兄ちゃんは檜扇湖亀を助けないと言った。







「瑞希お兄ちゃんの許可が出ていないので無理です。他をあたって下さい。」
「困るよ!!蓮クンがいないと、未子伯母さんから大伯母様を守れない!!」
「舟槙(しゅうま)さんには、破天荒な槙雄さんがついてるから大丈夫ですよ。」
「俺のような弱者である老人を見捨てるというのか!?」
「僕を捕えるように命令できるだけの元気はあったじゃないですか?」
「貴様!?減らず口を叩きおって!!」
「やめて、おじいちゃん!」







私につかみかかろうとする自称・弱者である老人を、舟槙(しゅうま)さんが止めながら言った。







「蓮クン!どうしても、味方になってもらえないのかい!?」
「・・・なれません。」
「つまり、敵になるというのかい・・・!?」
「敵にもなりません。関わりたくないのです。」
「もう遅いよ。」







私の返事に、ため息交じりで舟槙(しゅうま)さんは言った。







「未子伯母さんに連絡先教えた以上、もう抜け出すことはできない。だから言わせてもらうよ。未子伯母さんは――――あの女性は危険な存在だ。」
「・・・あなたから見て、危険なのですか?」
「そう忠告したつもりだけど?」







それで疑問がわく。







「あなたのお母様は、檜扇未子さんと大親友ではなかったのですか?」

「「っ!!?」」







途端に、孫と祖父の表情がゆがむ。







「母親の大親友を信じるなという理由について、説明して頂けますか?」

「・・・・・・・・説明したら、味方をしてくれるかい?」
「説明しなくていいです。さようなら。」
「うはははは!さいなら~!」
「ああ!!待って待って!!そのことでも困ってるんだ!!聞いてくれないか!?」
「・・・僕に言って解決するとは思えませんが?」
「愚痴ぐれー聞いてくれてもいいだろうが、坊主!!檜扇未子がからむと、代佳ちゃんがこっちの意見を聞かないから、困ってんだよ!!」







そう言うなり、頼んでもないのに話始める高野槙雄。








< 411 / 854 >

この作品をシェア

pagetop