彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





中年の女性親友コンビが立ち去り、祖父と孫が立ち去ったところで、私はヤマトに聞いた。





「どう思う?」
「うははは!これ以上、深入りせん方がええと思う!」
「そりゃ、そうだよな・・・。」





ホルマリン漬けにした赤ちゃんを脅しの道具に使った男にはかかわりたくない。

でも――――――





「本当に舟槙(しゅうま)さんは、大伯母と祖父の悪行を知らないのかな・・・?」
「うははは!あかんでぇ~凛!優しそうに見える悪人は、世の中にぎょーさんおる!舟槙(しゅうま)はんかて、それかもしれへんのんやぞー!?」
「そうだけど・・・わざわざ、介護車両が運転できる手続きまでして尽くしてる。湖亀さ・・・湖亀の方も、舟槙(しゅうま)さんを可愛がってるみたいだったから・・・。」
「うははは!ヘルメットマンはんも、可愛がられとったな!?実の孫に膝枕させるほど、孫にべったりなババアやったなぁ~!!」
「はあー・・・・・口ひげエロ親父が悪というのはわかった。湖亀も僕を捕まえる時のあの態度で、鳥恒先生が言うような悪女だと気づけた。だけど、舟槙(しゅうま)さんを放置することは――――――・・・。」
「うははは!できそうにないってかぁ~!?凛、瑞希さんの言葉を忘れたかー!?瑞希はんは、関わるなゆーたやんか!せやから、檜扇家と高野家は放置でええやん!下手な仏心出して、瑞希はんに嫌われたら割に合わんやろう~!?」
「・・・・・・・そうだね。放置するか・・・・・・・。」





私が一番大切なのは瑞希お兄ちゃん。

悪いね、舟槙(しゅうま)さん。

あなたと私の愛する人を天秤にかけることはない。



(天秤にかけなくても、愛する人を優先するのが凛道蓮なんだよ。)





「凛、ホンマに帰ろうで~!今度は車いすに乗った湖亀はんが、現れたら困るやーん!?うはははは!」
「そうですね・・・。」
ヤマトの言葉を受け、厄介ごとを防ぐためにも立ち去ろうとヘルメットをかぶった時だった。





ダダーン♪





私のスマホが鳴った。







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