彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
ピヨピヨピー♪
「この着信は!?」
スマホの着信音が響く。
「うははは!凛道蓮の安全な方のスマホの音やな~!?」
「・・・そうだね。」
待ってた方じゃなかったことにがっかりしつつも、画面の表示を見る。
名前を見て、咳払いをしてから電話に出た。
「もしもし、ますみちゃんですか?」
〈りっくん、高野舟槙(こうや しゅうま)とつるんでるって本当!!?〉
(どこでバレたんだろう・・・・・。)
ますみちゃんの問いかけに頭痛を覚える。
しかも、声の感じからして怒っている。
これ以上厄介ごとはごめんだったので、出来るだけ優しい口調で答えた。
「つるんでるわけじゃないです。ちょっと、関わらなきゃいけない事態になってるだけでし―――――――――」
〈そいつは悪人よ!!関わらないで!!〉
「は?」
〈詳しくは明日、桃山女学院へ来て!!会ってほしい人達がいるの!!〉
「え!?いや、明日はちょっと用事が――――――」
〈助けてりっくん!!お願いよ!!助けてあげて!!〉
(『助けてあげて』・・・?)
その言い方だとまるで―――――――――
「助けるのは―――――」
自分以外の誰かを救えと言ってるみたいじゃない?
「ますみちゃんじゃないってことですか?」
〈そうなの!!お願いよ、りっくん!!ますみ良い子にするから、明日会いに来て!!りっくんの助けが必要なの!!〉
ただならぬ様子のますみちゃんに、私の直感が告げる。
会うべきだ、と。
「・・・わかりました。明日、桃山女学院へ行きます。出迎えてくれますか?」
〈ありがとう、りっくん!!もちろんよ!!お出迎えするから、必ず来てね!!?約束よ!!?〉
「ええ、約束します。うかがいますよ。可愛いますみちゃんのためならば。」
〈よかった!!本当によかった・・・!!急なお願いなのに、聞いてくれてありがとう!!〉
「可愛い妹分のためなら、お兄ちゃんは何でも聞いてあげるよ。」
「わかったよ、妹ちゃん。」
ますみちゃんを愛称で呼べば、相手は不満げに声を上げる。