彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「こちらにどうぞ。」
「ここは――――――生徒会室?」
「りっくん、早く早く!中でみんなが待ってるから!」
「みんな!?」
ますみちゃんの言葉にギョッとする。
待ち人が複数いるのか、と。
(いったい、どういう用件なのかしら?)
とりあえず、ロクでもないことは確実だ。
そう覚悟を決め、ドアの前に立つ。
桐壺先輩がノックをする。
「みなさん、凛道蓮様がいらっしゃいました。」
それに続くようにますみちゃんも声を出す。
「入りますよー」
そうして、ドアを開けて先に室内に入って行く2人。
「・・・失礼します。」
それで私も、挨拶をして中に入る。
(うわぁ~・・・・・・)
室内は豪華な造りになっており、4人掛けのソファーがテーブルをはさんで2脚あった。
そこに、4人の男女が座っていた。
そしてテーブルには、こちらに背を向けているノートパソコンが1台、開かれていた。
(男性は1人、スーツを着てる。女子の1人は桃山女学院の制服を着てるけど―――――残り女性2人はスーツ姿。1人はスカートスーツで、もう1人はパンツスーツ。スーツ姿の女性2名は、女子高生には見えない・・・成人女性か?)
そう分析していたら、ますみちゃんが口を開いた。
「りっくん、紹介するね!制服を着てるのが、桃山女学院3年生の『桐生ほなみ(きりゅう ほなみ)』先輩で、スカートスーツの方が『東雲冬美(しののめ ふゆみ)』さん、パンツスーツの方が『竹田里奈(たけだ りな)』さん、黒一点のただ一人の男性が『林利勝(はやし としかつ)』さんだよ!」
「はじめして。凛道蓮と申します。」
「こちらこそ、はじめして。『竹田里奈』です。」
「お初にお目にかかります。『東雲冬美』です。」
「『林利勝』です。よろしくお願いします。」
「・・・『桐生ほなみ』です。」
スーツ姿の男女3人は普通だが、女子高生の先輩だけは様子が違った。
視線をただよわせ、ひどくおびえた表情をしていた。
だから、先手を打って言った。
「失礼ですがみなさん、一ノ瀬ますみちゃんから、僕が何者か聞いてますか?」
「はい・・・。」
「うかがってます。」
「聞いてます。」
「説明は受けました。」
おどおどしながらうなずく桐生ほなみさんと、ハキハキしながら答える東雲さんと、少しだけ微笑む竹田里奈さん、穏やかに答える林利勝さん。