彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「うははは!なるほど、なるほど!凛が族の頭やから、おびえてるんやね~!?桐生はんは!?」
「え!?わ・・・私、そんな風に見えますかっ!?」
うわずった声で聞き返してくる桐生さんに、思わずヤマトと顔を合わせる。
「・・・・僕を怖がってるのかと思ったのですが?」
「すみません!すみません!違うんです!外に出るのが久しぶりなので!緊張して!!」
「え?どこか、お体の具合が悪くて、お休みされていたのですか?」
「うっ・・・!」





そう聞いた瞬間、両手で顔をおおう桐生さん。





「うっ、うっ、うう~!」





そのまま、泣き出してしまった。





「桐生先輩!」





それを見て、素早く駆け寄る桐壺先輩。
そして、泣いている先輩の背中をなで始めた。
これに、スーツ姿の女性2人も、頭をなでたり手を握ったりする。







「す、すみません!何か失礼なことを申し上げたのなら、謝ります!」
「うっ、うっ、うっ!ち、ちが・・・ひっく!」
「りっくんは悪くない!悪いのは高野舟槙(こうや しゅうま)よ!!」
「ますみちゃん!?」







戸惑う私に、ますみちゃんは衝撃の一言を言い放った。








「ここにいる5人は、高野舟槙(こうや しゅうま)の被害者なの!!」
「被害者!?」








思いもよらぬ言葉を聞き返えすと同時に、疑問がわき起こる。







(ここにいるのは、紹介されたのは4人だけ・・・それなのに、5人ってどういうこと?)

ちょっと聞いてみよう。







そう思ったが、人数の質問をする前に、桐壺先輩が言った。





「とりあえず、みなさんとは反対側の席にお座りください、凛道様、ごじゅうあらし君。」
「は、はい。」
「うははは!しつれーしまーす!」





言われるがまま、ヤマトと並んで着席すれば、ますみちゃんが私の隣に座る。
それで自動的に私は真ん中になり、正面で泣いている桐生さんと距離が近くなった。







「あの・・・どういうことか、ご説明願えますか?」
「そのつもりですわ。」







そう言いながら、1人掛け用のソファーに腰を下ろす桐壺先輩。







「凛道様に、高野舟槙(こうや しゅうま)の問題内容を、被害者の方々からご説明をして頂きますので、聞いて下さい。」
「わかりました。すべて聞きますのでお願いします、桐壺先輩。」







そんな私の言葉で、ショッキングな話が始まった。








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