彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「私が高野舟槙(こうや しゅうま)と出会ってしまったのは、イギリスへ留学している大学時代でした。」
「英国への留学されていたのですか?」
「ええ。留学先の大学に迷惑をかけるといけないので、大学名は申し上げられませんが・・・・・」
「話せる範囲で十分です。お気になさらないで下さい。」
「ありがとうございます。」
申し訳なさそうに話す姿に胸が痛む。
(悪いのは、高野舟槙(こうや しゅうま)なのに・・・!!)
眉間にしわが寄りそうなのを我慢して笑顔で対応すれば、相手は淡々と被害内容を口にした。
「日本人サークルの人から、薬学を・・・・・私、薬学を専攻していたのですが、薬学に詳しい私の話を聞きたがっている、勉強熱心な日本人がいるから会ってもらえないかと声をかけられたんです。」
「声をかけてきた人は・・・あなたが信頼できる関係の方だったのですか?」
「・・・いいえ。アルバイト先が同じだっただけで・・・でも、悪い人だとは、思ってもいませんでした。」
「思ってもいなかったと表現されるということは―――――――」
「悪いやつでした。高野舟槙の取り巻きの1人だったんです。」
「男性ですか?」
「いえ、女性です。」
「同性!?」
「ええ・・・ですから―――――――――油断してしまいました。」
そう言って唇をかみしめる表情は、悔しさがにじみ出ていた。
「・・・それで?どんな被害にあわれたのですか?」
「薬学について語るパーティーに招待され、参加してしまったのです。」
「薬学を語るパーティーですか?」
「『薬という意味では、ウソは言っていない。』と・・・・・・・あのクズは、高野舟槙は言いましたね。実際、表現としてはウソではありませんでしたが。」
「どんなパーティーだったのですか?」
「大麻パーティーです。」
「「大麻!?」」
また、ヤマトと私が同時に叫ぶ。
思わず顔を見合わせてから、被害者女性を見る。
相手は、苦笑いの表情で告げる。