彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「最初は・・・目立ちたがり屋で、女子にモテたいタイプだと思っていました。いじめられましたが、いじめが始まる前は、普通に『こうのっち』と仲良くしていました。」
「こうのっち??」
「ああ、失礼。小学時代の奴のあだ名で・・・私もそう呼んでいたので。」
「え!?あだ名!?あだ名で呼びあうような・・・友達、だったのですか?」
「今となっては、友達関係だったことは黒歴史です。」





私の言葉に、穏やかだった表情が曇る。







「仲良くしていた時は、私は彼を親友のように思っていました。もっとも・・・そう思っていたのは、私だけだったと後でわかりましたけどね。」
「なぜ、いじめに発展したのですか?」
「漫画交換がきっかけでした。」

「「漫画交換?」」







ヤマトと声をそろえて聞けば、紳士的な男性は教えてくれた。





「高野舟槙(こうや しゅうま)の提案で、『オリジナルの漫画をお互いに描いて、交換日記みたいにしよう!』と言い出したのですよ。」
「もしかして・・・林利勝さんの方が漫画が、絵が上手だったことをねたまれたのですか?」
「逆です。言ったじゃないですか?高野舟槙(こうや しゅうま)は、格下の奴を馬鹿にするのが好きだと。だから、クラスで一番絵が下手な私にそういう遊びを持ち掛けたのです。『絵は描けば描くほど上手くなるから、君にうまくなってほしいからやろう!』という奴の言葉に騙されて・・・!」
「最悪ですね。」
「うははは!クソ野郎やんか。」
「共感してもらえて嬉しいです。ですが、当時の私は奴が意地悪で言っている事なんて考えてなかったので、必死で描きました。漫画家入門のサイトや漫画家さんの体験談の本を親に買ってもらい、それを読んで勉強して作品を仕上げてみせました。私が先に描いてみせたのですよね。」
「それについて、高野舟槙(こうや しゅうま)はどんな対応をあなたにしましたか?」
「『君のためを思って、あえてきついことを言わせてもらう』という前提で、馬鹿にされまくりましたよ。やめてくれと僕が頼んでも、クラスメート全員に漫画を回し読みさせて・・・いい笑いものにされました。」
「性根が腐ってるな。」

人が一生懸命努力して描いたものを使って、そんないじめをするなんて――――――許せない!!





〔★現在進行形でいじめられてる凛は、いじめを許さない★〕







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