彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「金絡むと、いじめは加速するからのぉ~」
「ええ。それでも―――――――――――いじめられていることを受け入れられなくて我慢し続けたら・・・」
「どうなったのですか?」
「小学時代、電車通学でした。毎朝、高野舟槙(こうや しゅうま)と一緒に通学していて、相手が『明日は1両目に乗ってるから。』と乗る車両を、前日に知らせてくれていたのですよね。」
「それもいじめに使われたのですか?」
「はい。約束通りの車両に乗っても、彼は乗っていない。最初は、乗り遅れたのかと心配したのですが、実際は隣の車両に隠れていて、僕が困る姿を見て楽しんでいたのですよ。」
「嫌な奴ですね。」
「嫌な奴ですよ。一緒に見ていた取り巻きに、私がどのように困っていたか毎日報告させてきますからね。」
「本人に抗議することはできなかったのですか?」
「和田アキ子と出川哲郎。」
「は?」
「高野は決まって、鳥槙に毎朝の私の電車での様子を取り巻きに報告させた後で、謝りに来るのですよ。『からかってごめん。いじって、本当にごめんなさい。でも、和田アキ子が出川哲郎をいじって、その場を盛り上げるのと同じだから。俺の親友はお前だけ。親友だから甘えてしまう。許してくれ。』と・・・。」
「詭弁だっ!!」
「そうですね。大人の私ならそう思いますが、子供の私は、高野の言葉を信じてしまった。だから、6年間いじめられ続けた・・・。」







フーとため息を大きくつくと、3人目の被害者は言った。







「私が高野を信じていると確信した上で高野は、本当に私にいろいろしました。私に変なあだ名をつけるのですが、進級するたびに変なあだ名を更新するのですよ。他にも、私の目の前で、私を見ながら取り巻き達とコソコソ話して、ニヤニヤしながらこっちを見て笑うんです。それに私がやめるようにいえば、和田アキ子が出川哲郎をいじるのと同じだと、誤魔化すんですよね。」
「小学生のレベルを超えた悪童ぶりですね。」
「ちゅーか、他のクラスメートは、あんちゃんがアホにいじめられてるの見て、どないしてたねん?」
「カースト上位の高野がするので、参加してましたよ。半数は金で買収されてましたからね。」
「え!?一対複数でのいじめですか!!?」

私と同じなの!?

(この人も、菅原凛と同じいじめを受けていた・・・!!?)







そう思ったら、共鳴に近い感覚を覚える。





〔★凛の林利勝氏への親近感が増した★〕






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