彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「一対複数というか、正確には、スタートは1対5でした。取り巻きを含め、6人グループで行動してましたから。それが・・・『あいつらもしてるなら~』というノリで、私をいじめる側に回る人数が増えていったのですよ。」
「・・・みんながしてるから、というやつですか?」
「そうですね。」
「まだ、他にされてること、ありますよね?」
「私が本を読んだり、掃除をしていて手が離せない時に、私の悪口を歌にして歌うのですよ。時には、悪口をメロディーにのっけて歌ったりとか、合唱するのですよ。やめてくれと頼めば、和田アキ子と出川哲郎の例えを出してきて・・・困りました。」
「一番許せないことは何ですか?」
「・・・ダメージを受けたのは、校庭でサッカーをしてる時です。学校の窓から、学年全員が私に対して罵声を浴びせてくる。最初にされた時、驚いて固まりました。同時に、一緒にサッカーをしていた子達が、さっき話した私の悪口を歌い始めるのです。悪口をメロディーにのせてサッカーボールをたくさんぶつけてくる。それを見ている教師たちは見て見ぬふりをする。」
「高野舟槙(こうや しゅうま)に制裁する際は、奴に同じことを倍返しします。」
「私の場合は、一言謝ってくれればそれでいいです。奴と最後に会ったのは、成人式の日にあった小学校の同窓会・・・一言、謝罪でもあるかと期待しましたが、ムダでした。」
「いじめられた件、『こうのっち』に問いただしましたか?」
「奴から、教えてないのにLINEがきたので問いかけましたよ。私が女子高の教師をしていると知り、女子高生を紹介してくれとね。」
「はあ!?あなたを、援助交際に巻き込むつもりだったのですか!?」
「私なら言いなりになると勘違いしたのでしょう。だから、『君が送ってきた女子生徒を紹介してくれのLINEは犯罪の記録として保存した。小学校6年間、私に何をしたのか忘れたか?』と送ったら、既読スルーになって、音信不通です。」
「シカトしたわけですか?」
「それだけで済めばよかったのですが・・・同じ教師をしている女性と、私は婚約をしたのですよ。」
「え!?おめでとうございます!」







思わぬ明るい話に祝福すれば、相手は困った顔で告げる。









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