彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「ありがとう、りっくん!!これで林さんの問題は安心だよ~!」
「私からもお礼申し上げます、凛道様。ありがとうございます。」
「いえ、漢として、当然のことです。龍星軍総出で追い込みます。」
「じゃあ、りっくん!次の被害者の話も聞いてくれない!?」
「もちろんです。次はどなたですか?」

「あ、あ、あの!」







おびえる声だった。
発したのは、最初から不安げな様子の女の子。







「桐生ほなみさん・・・でしたよね?」







優しく話しかければ、ゆっくりと首を縦に振る制服姿の女子高生。







「わ、私の実家は・・・大正時代から続く製菓店です。」
「お菓子屋さんですか?」
「はい・・・だから・・・小さい時から、家業を継ぐ者として・・・お手伝いをし、高校からも見習いとして、学業の傍ら、修行をしていました。」
「すごいですね!桐生さんは、努力家なんですね!」
「ありがとうございます・・・!私・・・父や祖父、歴代の職人たちのようになりたくて、頑張っていました。家族もそれをわかってくれて――――調理と接客、どちらでもできるようにと修行していました。修行を―――――――」







そこで一度、桐生さんの言葉が途切れる。
彼女は大きく言息を吸い込むと、呼吸を整えるようなしぐさをしてから言った。







「私が、接客の修行をしている時、接客のアルバイトとして採用したのが、高野舟槙(こうや しゅうま)でした。」
「え?あなたの実家に、働きに来たのですか?」
「はい!あんな男・・・!!採用したのが、我が家の黒歴史!!父も祖父も、採用しなければ、よかったと、今も後悔し続けています!!」
「つまりそれは――――――――高野舟槙(こうや しゅうま)は、あなた方が後悔するほど、お店に損害を与えたと考えてよろしいでしょうか?」
「はい!!ひどい損害です!!」







そう断言する桐生さんの目は、怒りで燃えていた。
だから私はうながした。









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