彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「ぜひ、詳しくお聞かせください。」
「あいつ!!『パティシェに興味がある』と言葉巧みに私に近づき、私もそれをうのみにして仲良くしてしまったのです!!」
「仲良くすることを、後悔するほど、嫌な思いをされたのですか?」
「告白されました!!彼氏がいて断ったのですが、そしたらあいつ――――――――――うちの店でバイト中にケガをしたと、傷病手当金を申請したんですっ!!」
「傷病手当金を?」



〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
傷病手当金(しょうびょうてあてきん):お仕事中にケガや病気になって休業する時に、本人とその家族の生活を保障するために、日額の3分の2が支払われるお金のことだよーん☆彡



「あの制度は、被保険者が病気やケガのために会社を休み、雇用者から十分な報酬が受けられない場合に支給されるはずですよね?どんなケガをしたのですか?」
「ケガしてないんですっ!!」
「え!?」
「あいつは、うちのお店で働いてる時にケガをしたと主張しましたが、ケガなんかしてないんですっ!!『アキレス腱断裂』の診断書を持ってきましたが、そんな怪我をするような仕事、あいつにはさせてなかったです!!お店の責任者である祖父が認められないと言ったのに、強引に関係機関に書類を提出して、私たち家族は支払いを命じられました!!」
「なんですかそれ!?あれ!?しかしそのケガだと―――――――労災じゃないですか?」







疑問を口にすれば、ギリッと歯ぎしりしながら桐生さんは教えてくれた。







「それがあいつ―――――――――祖父たちが素直に労災に応じなかった腹いせに――――――『精神的苦痛を受けた!』と訴えて、『適応障害』の診断書を用意して、傷病手当金に切り替えたのですよ!!」
「うははは!そんで、そんでー!?高野舟槙(こうや しゅうま)は、傷病手当の金をもらって、素直に自分のお店を退職してくれたんかいなぁ~!?」
「それが図々しくも、やめなかったんです!!私へのアプローチもやめてくれなくて・・・ストーカーになりました!!」

「「最低やん!!?」」

(ストーカー!?あの舟槙(しゅうま)さんが!?)







どんどん下がっていく、私の中の高野舟槙(こうや しゅうま)への好感度。
そんな中で、更なる爆弾発言を桐生さんはした。










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