彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「軽井沢のレストランのオーナーは、高野舟槙(こうや しゅうま)が傷病手当金をもらっているのを知った上で、偽名を―――――あだなの『あーちゃん』と呼んで働いてもらってると開き直ったんです!!『舟槙(しゅうま)君はやましいことなんて何にもないから、普通に堂々と生活すればいいんだ。』と言って、あ・げ・た・♪って!だったら、なんで偽名なんか使うのか聞けば、『舟槙(しゅうま)君を守るために、偽名を2、3個使ってるんだ。』と言ったんです!!」
「それ、不正受給の確信犯じゃないんですか?むしろ、共犯ですよね?」
「そう思いますよね!?だから、通報するって言ったんです!!そしたらオーナーは笑いながら、『警察だろうが検察だろうが、誰が来たってこっちは全然平気だ!!』と、自信満々でドヤ顔をしてきて、挙句の果てには、『高野舟槙(こうや しゅうま)君に給料は渡してない。こっちはお手伝いをしてもらい、あちらにはリハビリをしてもらっただけは潔白した関係だ!!』と逆ギレしたんです!!」
「馬鹿なオーナーですね・・・。」
「ホンマやな!!アホちゃうか!?絶対に給料もろーとるで!!隠ぺいする気かいな!?」
「私もそう思います!!『給料を渡していない!!』と、一貫して語っていましたが・・・手渡ししている写真を探偵が取っています。あえて、オーナーの男性には伝えませんでしたが。」
「伝えなくて正解ですよ、桐生さん。切り札は隠しておくに限ります。なによりも――――――――厚生労働省保険局の関係者が知れば、他の場所で同じような仕事をしている場合、そこで報酬を受け取っているかいないかに関係なく、『その事実』をもって医療保険者(※加入している団体)が支給の可否を再検討する必要があるんです。来るのは、警察や検事じゃない。厚生労働省保険局が来ても、同じことを言えるか楽しみですね。」
「図太い人でしたから、きっと言いますよ!!」







私の言葉に、憎々しげに断言する桐生さん。









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