彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「僕も詳しくは知らないんだけど、『職務専念義務』というのは、働いてる時は仕事に専念しなければならないという義務があるから、高野舟槙(こうや しゅうま)みたいに、お金をもらって洋菓子店をケガで休んでいるのに軽井沢のレストランで働いていたとなると、『休職に専念しなかった』ことになるから、職務専念義務違反となると思うんだよ。ちなみに桐生さんは、高野舟槙(こうや しゅうま)が軽井沢のレストランでの住み込みのバイトをすることの相談を受けたり、許可を・・・働いても良いと許しましたか?」
「許してません!!!相談もなかったです!!探偵を使って、住み込みの仕事をしていると分かったことですから!!!」
「じゃあ、違反ですね。」
「違反なんか、凛?」
「違反だよ、ヤマト。一般的な就業規則には、『許可なく他の会社の業務に従事すること』、『職務に関連して不正に自己の利益を図る行為』や『会社の名誉や信用を損なう行為』などを禁じるルールがあるから、完全に違反していることになる。早い話が、このケースは傷病手当金を不正に受給になるよ。」
「だけど国は、あいつを取り締まらなかった!!祖父母と両親が何度も足を運んで訴えたのに、門前払いよ!!」
「門前払いされたのは・・・檜扇未子の身内だからですか?」
「そうです!!その上、傷病手当の支払い期間が終わった日、平気な顔をして高野舟槙が出勤をしてきて――――――――――父が塩をまいて追い払い、その場で仕事をクビにしたら、その晩、警察が来て、父を高野舟槙への傷害罪だと言って逮捕して連れて行ったのです!!」
「なんやてっ~!!?」
「逮捕したのですか!?」
「はい!!そしてすぐに、あいつが私に連絡してきて――――――――――『俺とセックスすれば、親父を釈放してやる』と・・・!!」
「ど、どうされたのですか!?」



「殺すことにしました。」



「えっ!?」







冷たい声だった。









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