彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「分厚いのぉ~!?」
「要点だけまとめてこれだけです。」
「お借りしてもよろしいですか?」
「いえ、差し上げるために持ってきました。オリジナルは、銀行の金庫の中です。」
「ありがとうございます。謹んで、頂戴いたします。」







トランクケースがテーブルの上をすべる。
スライドして、私の元へとやってきた高野舟槙(こうや しゅうま)の犯罪の記録。



本当に、重かった。



〔★並みならぬ怒りが伝わってきた★〕







「この中に、高野舟槙(こうや しゅうま)の悪事がつまっているのですね。」
「いえ、ついでなので、軽井沢のレストランオーナーの情報と、傷病手当の不正受給の裁判を起こした際に、不正をもみ消した松居新太検事の情報も入れています。」
「検事まで引っ張り出したのに、もみ消されましたか・・・」
「松居検事は、あいつらの味方でした。ダメもとで、法務省人事課に連絡して、検察を辞職させるように伝えるだけ伝えましたが・・・檜扇未子があちらにいる以上、無理でしょうね・・・。」
「では、高野舟槙(こうや しゅうま)の案件とは別の事件で不祥事を起こさせ、失脚するように僕が仕掛けてみます。」
「え!?ダメですよ!!そんな悪いことしたら―――――――――!!」
「目には目を、歯には歯を、悪には悪をぶつける。それが龍星軍です。どうかあなたは、ご自身とご家族の幸せのために生きて下さい。絶対に高野舟槙(こうや しゅうま)の7号さんにはさせません!!」
「あ・・・ありがとうございます、凛道蓮さん・・・!!助けて下さい!!よろしくお願いします!!」
「承りました。」







ようやく笑顔を見せる相手に笑顔で返せば、側にいたますみちゃんが声を上げる。







「ありがとう、りっくん!!これで桐生ほなみさんの問題は安心だよ~!」
「私からもお礼申し上げます、凛道様。ありがとうございます。」
「いえ、漢として、当然のことです。龍星軍総出で追い込みます。追い込みますので―――――――!」







一呼吸おいてから、私は聞いた。








「5人目の被害者はどちらにいらっしゃいますか?」








その問いかけで、室内の空気が張り詰めるのがわかった。










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