彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「・・・そうだね、りっくんに、紹介しなきゃね。」
そう言ったますみちゃんの視線が、私から移動する。
他の被害者4人も、桐壺先輩も、ますみちゃんが見ている方を見ていた。
その視線の先にあったのは――――――――
「リモート参加ということですか?」
テーブルに置かれたパソコン。
「そうだよ。」
冷たい声でますみちゃんが言う。
「優しく接してあげてね。」
そう言いながら、ノートパソコンの画面を私の方に向けた。
(女性か・・・。)
映っていたのは、うなだれているスウェット姿の人物。
〈・・・。〉
顔は見えないが、長い髪をくしでといていないのか、乱れたヘアスタイルになっていた。
「はじめまして、お嬢さん。こんにちは。凛道蓮です。」
笑顔と精いっぱいの優しい声色で話しかける。
それでゆっくりと、相手が顔を上げた。
〈目の下のクマがひどいな・・・。〉
初めて会う相手は、顔色が悪く、肌もあれていた。
ただ、ジッと瞬きすることなく、私を見つめていた。
(この子も高野舟槙(こうや しゅうま)の被害者?だとしたら、どれだけひどい目に合ったの!?)
一目見て、普通じゃないとわかる様子。
言葉を選ぶべきか迷ったが、俺は凛道蓮だ。
ツッパリはツッパリらしく、ヤンキーの流儀を通すことにした。
「『俺』は今、高野舟槙(こうや しゅうま)を生き地獄の人生をプレゼントするための活動を始める。高野舟槙(こうや しゅうま)への制裁、何が言いか教えてくれないか?」
〈・・・。〉
「可能なら、君が話せる範囲で、高野舟槙(こうや しゅうま)にされた悪事を教えて下さい。」
〈・・・って、言・・・・。〉
(何か言った!!)
かすかだが、何か言葉を発した。
「今の話、聞き捨てならないね。もう一度、言ってもらえますか?」
聞こえなかったけど、聞こえた振りをして聞いてみる。
途端に相手は豹変した。
〈ブタが通ったって、言われたァァァァァァ!!!!!〉
そう叫ぶなり、両手で頭を抱えて、わめき始める女性。
〈かなで!!〉
〈しっかりしろ、かなで!!〉
それで発狂する女性の背後から、中年の男女が出てきた。