彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







〈かなでをいじめた鬼を退治してくれるって約束でしょう!?ウソだったの!?〉
「かなでさんのお母様、気持ちはわかります。私も婚約者も悪人退治はしてほしいですけど・・・こんな幼い子供に期待し過ぎるのは、酷ですよ。私も半分しか期待はしてないので。」
〈俺は違う!!凛道蓮にかけてるんだ!!〉







諭すように林さんが言えば、田中さんの父親が画面越しに首を大きく横に振る。







〈俺は凛道蓮が鬼退治をしてくれると信じてる!!社長が―――――――ますみお嬢様のお父様が絶賛するんだから間違いない!!〉
「うははは!!田中かなではんのおとんは、ますみはんのおとんの部下かいなぁ~?」
〈そうだ!!同じ娘を持つ者として、いつも良くして下さって――――――――凛道蓮さん!!あんたが、最後の頼みの綱だ!!必ず、高野舟槙(こうや しゅうま)を地獄に落としてくれ!!〉
「田中さんの気持ちはわかるけど、愛するりっくんが危険な目に合うのは、ますみイヤよ!」
〈俺だって娘を、愛娘を愛してるんですよ!?必死なんですよ!?何度、高野舟槙(こうや しゅうま)を殺しに行こうとしたことかっ・・・!!〉
〈ますみお嬢様には、わからないでしょうね!!我が子がいじめられて壊されて・・・子供を、かなでを救ってやれない私達の気持ちが!!〉
「そんなことない!!ますみもりっくんに救われたから!!だから、かなでちゃんの助けになりたいと思ったの!!」
〈だったら助けて下さいよ!!あんたらはまだ被害が軽いから、運がよければ成功してほしい程度に考えてるんだろう!?だけど俺達は違う!!〉
〈かなでは今も苦しみ続けてる!!かなで以上に、あの鬼に苦痛を与えて凛道蓮さん!!〉

「かなではんが、そう言ってんでっか?」

〈え!?〉
〈なんだと!?〉

「ヤマト?」







感情を爆発させる田中夫婦に、静かな口調でヤマトが問いかける。







「親であるあんたらの望みと、娘であるかなではんの意見は、同じなんか?かなではん、自分のおとんとおかんがこうゆーとるけど、どないやねん?どないしたいん?」







画面をのぞき込みながら聞くヤマト。







〈かなで・・・〉
〈かなでは――――――〉
〈・・・。〉







ヤマトの問いかけに答えない被害者。
その姿を見て、私は思ったことを口にした。








「田中かなでさん、君の気持ちを聞かせて下さい。」








一か八かの賭けで、話しかけてみる。










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