彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「・・・さすが、俺の大親友だな。」
(そう・・・高野舟槙(こうや しゅうま)が、悪事を誤魔化そうとするのは承知の上。ジジババのことで傷つくのも怒ることも想定内。だから、怒らせて嫌われる必要がある。1対1なら感情をあらわにできるだろうけど、ヤマトがいたら我慢するかもしれない。それじゃあ、意味がないんだ。)
1対1のサシで会うからこそ意味がある。
「出来る限り、最低な性犯罪者と罵倒した上で、檜扇湖亀と高野槙雄を侮辱するつもりだ。それでゴミクズが上手く怒って、味方にしたくないと思ってくれればいいんだが・・・・・」
そこで私達の会話が途切れる。
風を切る音だけが、私達の間に響く。
交差点の信号が赤に変わり、単車が止まる。
「うはっはっはっはっ!!」
ふいにヤマトが笑い声をあげる。
「うははは!そない辛気臭い顔するなや!!実行して、ダメならダメで、次の悪知恵考えたらえーやん!?」
「悪知恵って、ヤマト!?」
「うははは!せやろう~!?相手に嫌われようなんて、悪いこと考えるやないかーい!?瑞希はんを守るためなら、何でもする覚悟が決まっとる凛が好きやで!?」
「ヤマト・・・」
「うははは!信号変わった!もうすぐ着くから、メンタル整えててやー!?」
「うん、ありがとう・・・・・。」
「いざ!味方にしたくないと思わせる作戦スタートやで~!うはっはっはっはっ!!」
その言葉に合わせ、単車が走り出す。
ゴールである東山高校を目指して、走り出すのだった。