彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
東山高校の裏門で、ヤマトと別れる。
ほどなくして、1台の単車がこちらへと近づいてきた。
ギュウ~~~~~~~~~~ウウン!!
それに私は驚いた。
(え!?ヘルメットマンさん!?)
かぶってるヘルメットは、柊護さんがヘルメットマン活動をしていた時と同じもの。
単車は減速しながら私の前で止まる。
そして、運転手がヘルメットを外した結果―――――――
「高野舟槙(こうや しゅうま)・・・・さん・・・・・。」
相手はヘルメットマンさんの檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さんではなかった。
(なによ、違うのかよ!紛らわしい!)
そんな気持ちが態度に出たのかもしれない。
「こんにちは、蓮クン。えーと・・・なんか、がっかりしてる?」
「・・・今日はバイクなんですね?」
「そうなんだ。なぜか、車のタイヤがパンクしてて・・・やっぱりバイクは、寒いからイヤだった?」
「そんなことないですよ。基本、移動は単車なので平気です。」
「ならよかった!それはそうと――――――・・・・・・一方的な約束だったのに、来てくれてありがとう。」
「いいえ。僕もこの際なので――――――舟槙(しゅうま)さんにお話しておきたいことがありますので。」
「え?なんか怖いなぁ~・・・それって、大伯母様に関係する話?」
相手が口にしたのは身内の名前。
先に、桐生ほなみさんの件で釘を刺したかったのだけど――――――――
(仕方ない。身内の悪行話を暴露してから、犯罪者と責め立てるか・・・。)
心の中でそう決めてから発言する。
「どちらかといえば、おじいさんである高野槙雄さんに関する話ですね。」
「・・・だいたい、予想はつくよ。わかった。聞くよ。とりあえず、場所を移動しよう。個室の店を予約してるから。」
「わかりました・・・。」
「はい、これヘルメット。」
「ありがとうございます。」
手渡されたのはヘルメットマンさんが使用していたヘルメットと同じもの。
「これ・・・・・柊護さんも使われてますよね・・・・・?」
「え、ああ、柊護の会社の商品だからね。もしかして、使うのが嫌だったりする?」
「いえ、そういうわけではないです。」
そう伝え、高野舟槙(こうや しゅうま)の単車の後ろに乗る。
絶対、奴の身体に触りたくなかったので、タンデムバーをつかむ。