彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「凛!俺と伊織から、凛にやるものがある!」
「え?なんでしょう?」
「良いもんだよ♪伊織!」
「ああ。」





瑞希お兄ちゃんに呼ばれ、席から立つと、こちらへやってくる獅子島さん。
その手に持っているものを見て、まさか、と思う。





(あれをくれるというの?)





そう思った時には、獅子島さんは目の前まで来ていた。





「凛道よ、ありがたく受け取れ。」
「俺らが凛に渡したいものは――――――――!」
「「これだ。」」





声をそろえて、瑞希お兄ちゃんと獅子島さんが差し出したのは―――――――





「スマホ?」





新品のスマートフォンだった。
これを見て、横に座ってる雷太が私の服のそでを引っ張りながら聞いてくる。





「凛先輩、スマホ持ってましたよね??」
「うん・・・だから、2台も必要ないですよ?」
「必要だ。」





私の言葉を即答で否定する好きな人。





「使い分けるために、必要だ。」
「使い分ける??」
「どーゆー意味スか?」





雷太と2人で聞き返せば、瑞希お兄ちゃんは教えてくれた。





「最初に渡したスマホ、今使ってるのは、信頼できる仲間や教えていい奴の分だけ登録しろ。今渡した2台目は、番号を教えたくないけど教えなきゃならなくなった時のために教える番号にしておけ!」
「そういう理由でしたか!?」
「それ以外あるかよ?」





納得する私に、あきれながら瑞希お兄ちゃんは告げる。





「龍星軍4代目総長の連絡先を欲しがってる奴はかなりいる。凛は気軽に連絡先を教えるタイプじゃないだろう?」
「あ、はい。あまり教えたくないです。」
「俺もそうだからわかる。教えたくなくても、教えなきゃいけなくなった時、本当の番号を教えないで済むようにしておくには、ダミーの番号が必要だろう?」
「はい!あると助かります!」
「だったら使え!面倒な奴とそうじゃない奴とで使い分けろ!」
「わかりました!ちなみに・・・月額はいくらぐらいお支払いすれば――――?」
「金は俺が出すからいい!」
「え!?またですか!?悪いですよ!」
「お前、学生だろうが!学生は勉強しとけ!働いてる社会人が金使えばいいんだよ!つーか、弟の財布の面倒ぐらい、兄貴の俺がもつ!総長命令だ!いいな!?」
「うっ!?わ・・・わかりました。ありがとうございます・・・!」





総長命令を口にされたら、逆らえない。



〔★最強の呪文だった★〕




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