彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「うははは!なんや、パトカーぎょうさんおるの~!?ノーヘルで来たから、パクられるかのー!?」
そう言いながら、止まっているパトカーの・・・私の側に横付けして止まるヤマト。
これに警察官達は―――――――
「あいつ・・・!」
「よせ!上から命令されてるだろう!?」
「ああ・・・!胸糞悪いが・・・!」
「わかってる!関わるなってことだろう!?」
「交通違反見逃せとか・・・最悪だぜ・・・!」
(え・・・?)
何もしてこなかった。
ただ、忌々しそうに私達をにらむだけで、淡々と作業を・・・現場検証を続けていた。
(・・・どういうこと?)
まさか――――――――
(柊護さん・・・檜扇家の力が、警察の動きを制してる・・・!?)
そう思わなければ、納得のできない矛盾。
「うははは!?なんや!?ノーヘル、注意されへんのやけどー!?」
「無視しろ、ヤマト!早くこの場から離れよう!」
「うははは!りょーかーい♪ほな、わしの後ろに涼子はんのせて~襟足君の原付を凛が運転して~凛の後ろに襟足君が乗る方向で、ここから離脱しよかー!?」
「そうしましょう!」
「わ、わかりました。」
「よっしゃ!!凛さんが俺の原付に乗ってくれる上に、俺は凛さんのケツに乗れる!!」
突き刺さる視線の中、私達は素早く二輪車にまたがる。
「ヤマト!かぶってないけど、ヘルメット2つあるよね!?」
「うははは!わかっとる!涼子はんと襟足君にかぶせるんやろー!?」
そう言いながら、ヤマトは持って来ていたヘルメットを、涼子ちゃんと雷太の頭にかぶせる。
「あの!私より、凛君がヘルメットを―――――!!」
「そうっす!!俺のヘルメットを凛さんが使って――――――!!」
「『俺』は大丈夫だからかぶってろ!!総長命令だっ!!」
「「は、はい!!」」
低い声で告げれば、大人しく従ってくれる涼子ちゃんと雷太。
「うははは!!ほな、行くで~♪」
キュォオオオオン!!
ヤマトの合図で、私も慣れない原付を起動させる。
そして、警察官達からの明確な怒りの視線を浴びながら、その場を後にしたのだった。
~ゴミクズ野郎には制裁を!!凛道蓮、危機一髪!!~完~