彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
◆敵の驚愕の正体判明!!最強ヤンキーは絶対服従しない!!◆
めまいのような症状を自覚しつつも、なんとかシゲ先生の病院までたどり着く。
私の後ろに乗っていた雷太が、シゲ先生に電話してくれていたおかげで、シゲ先生は外で私達を待ってくれていた。
「蓮君はトラブルに巻き込まれやすいね。」
真顔で言われ、手を引かれ、診察室で2人きりの診断を受けた。
「シゲ先生・・・僕、どうなのでしょうか?」
診察室の外の待合には、ヤマトと涼子ちゃんと雷太がいた。
ドア1枚で隔たれた環境で、上着を巻き上げ、心音を聞いてもらっている私。
「・・・うん、元気な心臓の音です。服を戻していいですよ。」
さらしの上から心音を確認し終わると、シゲ先生が服を元に戻すようにささやく。
それで、入念に着込みながら服装を整える。
少しでも、女の子の要素が見つからないように隠す。
そんな私の様子を見ながら、穏やかな口調でシゲ先生は言った。
「結論から言えば、蓮君に使われた薬は、君を眠らせるための薬で、体に害はありません。ですから、休みさえすれば、問題はありませんよ。」
「そうですか・・・それを聞いて安心しました。ありがとうございました。」
「いえいえ。蓮君が無事で、私も安心しましたよ。」
そう言って、心音を聞く道具を身体から外すと、真剣なまなざしでシゲ先生は聞いてきた。
「今回は、何がありましたか?」
「・・・実は・・・」
シゲ先生の問いに、出来るだけ簡単に、今までのことを説明した。
瑞希お兄ちゃんが愛人の子であること、瑞希お兄ちゃんの弟分である私は変態女好きクソゴミ親父に実子だと勘違いされていること、ヘルメットマンさんの正体、瑞希お兄ちゃんにドナーになれと迫る変態女好きクソゴミ親父達、高野舟槙の犯罪の数々、高野長月に殺されかけたこと・・・それらを話した。
「――――ということなのですよ。」
「・・・そうでしたか。」
話し終わった時、シゲ先生は表情を曇らせていた。
(無理もないわ・・・。瑞希お兄ちゃんがゴミクズの女好きから生まれただけでも、衝撃過ぎるものね・・・。その上、私は殺されかけちゃうし・・・。)
私のことはともかく、瑞希お兄ちゃんの情報は、拡散されると困る。
シゲ先生に限ってあり得ないけど、念には念を入れて、口止めをお願いした。