彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「シゲ先生!!シゲ先生を信じてはいますが―――――瑞希お兄ちゃんの家庭事情の事、誰にも言わないで下さい!!どうか内緒にして下さい!!」
「もちろん言いませんよ。ですから蓮君にも、瑞希君の出生に関しては話しませんでした。」
「そうですか!!瑞希お兄ちゃんの出征の秘密、僕にも話さないでいてくれ――――――――え?」
・・・え?
「今、なんて言いました・・・?」
(『話しませんでした』って―――――――!!?)
シゲ先生の言葉の意味を理解した時、相手は笑顔で言った。
「瑞希君の家庭事情は、把握しています。」
「えええ!!!!?」
〔★シゲ先生は、真田瑞希情報を知っていた★〕
「凛先ぱ―――――――い!!?すごい大声でしたが、どうしたんすかっ!!?」
「凛君!!悪い診断が下りたのですか!!?」
「うはははははは!!入っちゃ、あかん、あかん♪とうせんぼーう!!」
外から私を呼ぶ声がしたが、それどころじゃない。
「知ってたんですかっ!!!?」
「はい。本人から聞いていましたので。」
動揺する私とは真逆に、落ち着いた態度で話す老齢の医師。
「瑞希君本人から、自身の出生に関する口止めはされていませんが、烈司君達からはされていましたので、黙っていました。」
「なのに、僕に話していいのですか!!?」
「蓮君は、瑞希君の『人生』に関わる関係者になってしまったのですよ?その場合は、情報共有をしておくことが最善でしょう。」
「っ!?」
シゲ先生の言葉で衝撃が走る。
(私が瑞希お兄ちゃんの『人生』に関わる関係者・・・・・・!!?)
好きな人の、愛する男性の、人生に関われている・・・!!!
「嬉しいのですね。」
「えっ!?」
「あなたは、真田瑞希君のことを愛しているのでしょう?だから、嬉しそうな顔になっていますよ。」
「えっ!?か、顔に出てますかっ!?」
「幸せそうな顔です。どちらの凛さんでもそうだといいのですが。」
「っ!?」
再び、シゲ先生の言葉で衝撃が走った。
(どちらの凛でも・・・か。)
ありえない。
菅原凛で、幸せになれるなんて・・・ありえないと、半分諦めている。
(同じ幸せになれるなら、瑞希お兄ちゃんと一緒にいられる『凛』道蓮の方だけでいい。)
最近はそう思うことが増えていた。