彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「すみません、蓮君。私の言葉で、あなたを傷つけてしまいましたね。」
「・・・いえ、そんなことないですよ。」
「医者に嘘は厳禁です。悲しい顔になっていますよ。」
「・・・シゲ先生には、かないませんね・・・。」
苦笑いすれば、シゲ先生の手が伸びてきて、頭を優しく撫でてくれた。
思えば・・・・・私の両親が私の頭を最後に撫でてくれたのは、いつだっただろうか?
そんなに撫でてもらった記憶はないように思う。
スキンシップ自体あっただろうか?
子供の時から、学習塾やおけいこばかりで、親子の時間はなかった気がする。
(まあ・・・今さら頭撫でられても嬉しくないけどね。大きくなったわけだし・・・。)
今となっては、頭をなでてくれるのは瑞希お兄ちゃんだけ。
ううん、瑞希お兄ちゃん達、龍星軍の先輩や、『凛道蓮に関わった大人だけ』だわ。
「蓮君は自己評価が低いところがあります。もっと自分を認めてあげるべきです。それがどちらの凛さんにとっても最善ですよ。」
「・・・善処します。」
私の返事にあわせるように、私の頭をなでていた手が離れた。
「凛せんぱぁ―――――――――いっ!!!!ご無事なんすかぁ―――――!!!?悪い診断されたんすかっ!!?」
「うはははははは!!のこった!のこった!!お相撲さんごっこやぁ~!」
「何が相撲だボケ!!!マジでどけよ関西人!!!なんで動かないんだよ――――!!?デブでもないくせにっ!!!」
「シゲ先生!まだ凛君の診察は、続いてるのでしょうか!?」
一息つく間もなく、迫ってくる騒ぎ。
「蓮君、診察は終わりました。顔を見せに行って良いですよ。」
「す、すみません!ありがとうございます!」
(無視するわけにもいかないもんね・・・)
お医者さんの許可も出たので、立ち上がってドアへと向かう。
ガチャ。
ドアを開ければ、ヤマトと組み合っている雷太と、そんな2人に困っている涼子ちゃんが目に入る。
とりあえず、言うべきことは言った。