彼は高嶺のヤンキー様１０（元ヤン）

（もしも・・・鳥恒先生が教えてくれた話の中に、檜扇未子が語る愛情を閉める物語が含まれているとすれば―――――――――探りを入れるか・・・。）

「未子さん、僕は中立でいたいのですよ。」

「何よ急に！？」
「鳥恒先生は、檜扇湖亀さんを嫌っている。それゆえに、檜扇湖亀さんが悪い人間だと誇張しているのではないかと、疑問を感じているのです。あの上品で慈悲深い方を、悪人と表現するのは過激に感じまして・・・。」

ウソだけどね。








私の言葉に、檜扇未子の表情が変わる。








「そうよ！！そう！！そうそう！！檜扇辰也、いいえ、鳥恒の言うことは単なるひがみなのよ！！そこを誤解したまま、だまされたまま死なないで！！」



（って、殺す気まんまいかーい！！）








ツッコミを入れたいのを我慢し、笑顔を作ってしゃべる私。








「『未子さん』は裕福な、それも特別な立場で育ったので、選ばれた人間の苦労というのをよくご存じだと思います。人間とは、他人の不幸話ほど好きなものです。だから、貴方の結婚するまでの道のり同様、湖亀さんも誤解されて生きてきた可能性を考えてしまいまして。」
「そう、そうなのよ！！マスコミもバカな国民も、私や二三人君のあらさがしをして、でっち上げをして、幸せを邪魔しようとした！！私は好きで皇族に生まれたわけじゃない！！篭の鳥だった私を、二三人君は救い出そうとしただけなのに！！」
「では、助け出されて、今に至るというわけですね？」
「その通りよ！！自由を手に入れて、好きなことを出来て、皇室を離れてからもおばあ様は私が困らないように助けてくれる！！お義母様は、そんなおばあ様にそっくりなのよ！！だから、長生きしてほしいほど大好きなの！！」
ちょっと言いたいことはいろいろあるけど我慢して～～～～自白をさせ続けようか！！
「未子さんの実の祖母と義理の母が同じとは・・・それだと鳥恒先生の話が矛盾してきますね・・・。」
「凛道蓮君！！あなた、そこまでわかってるなら、まだ間に合うわよ！！あなたがドナーに選ばれても、真田瑞希君を助けてあげる！！もちろん、瑞希君がドナーの場合もあなたを助けてあげるわ！！」
「そのことなのですが・・・もし、２人共適合したら、どっちを使うつもりなのですか？」
「えっ！！？」








そこで元皇族の表情がかたまる。
動きが止まってしまう。