彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「2人共適合したら・・・ですって・・・?」
「はい。2人共適合しないパターンがあるなら、2人共適合するパターンも、考えてますよね?」
「え!?ええ!?あ、えっと・・・」
私の問いかけに慌てだす。
それで様子をうかがう私。
「2人共って・・・適合してくれるのは良いことだけど、2つも臓器はいらない・・・どうしよう・・・!」
「じゃあ、僕の臓器を使って下さい。」
「え!?あなたの臓器を!?」
「はい、未子さんの人柄を知って、考えが変わりました。」
「わ、私の人柄ですって!?」
「あなた、良い人ですね。」
(ウソだよ。まったく真逆の極悪人だ。)
「あんな強硬手段で僕らを連れて来たのも、一途な愛情ゆえでしょう?少し、冷静さを失っていたのだと、今ならわかります。」
(そんなわけあるか、ボケ。基地外の暴走だよ。)
「ご主人の二三人さんを一途に愛するように、義理とはいえ、母を愛した結果だと思うと・・・お役に立ちたくなりました。」
(とことん、檜扇二三人の邪魔してやる。)
「本当!?本当に、お義母様のために死んでくれるの!!?凛道蓮君!!?」
(コイツ助けるとか言いながら・・・やっぱり私を殺す予定かよ・・・!!)
カチンときたが、我慢して、気持ちを抑えて笑顔で言った。
「皇族出身の未子内親王が、16歳の僕でもドナーになれると断言されたのですから、何も問題がないのですよね?」
「ないわ!!おばあ様に頼んで、憲法を改正させればいいだけだし!!」
「事後報告でも大丈夫でしょうか?」
「そんなの、やったもん勝ちよ!!嬉しいわ!!お義母様が生きるべき人間だとわかってもらえて嬉しい!!」
「恐縮です。では、伝言を頼めないでしょうか?」
「伝言?誰に?」
「湖亀おばあちゃんにです。」
「!?あなた!!お義母様のこと、おばあちゃんって!?」
「最後ぐらい、そう呼んでいたと伝えてもらえますか?長生きして下さいと伝えるついでで良いですので、お願いできますか?」
「それは・・・いいけど・・・」
そこでなぜか、表情を曇らせる湖亀の息子の嫁。