彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)








(流れは良い感じで話がまとまった。あとは、瑞希お兄ちゃんの居場所をさりげなく聞き出して、伝言をさせている間にここを抜け出し、瑞希お兄ちゃんの元へ行けば生還できる・・・!)








そう計画して、嘘八百を並べ立てたのだが――――――――








「・・・凛道蓮君、一緒に来て頂戴。」
「え?ここで採決の結果を待つのではなかったのですか?」
「予定変更よ!今から、あなたをお義母様の元へ連れて行くわ。」



「え!?」

(なんでそうなる!?)



「お義母様・・・ずっとあなたに、おばあちゃんと呼ばれたがっていたのよ。今、真実に気づき、素直になったあなたを、お義母さまに会わせた方が、お義母様も気持ちよく心臓手術を受けられると思うのよね。」
「心臓手術!?」
「あら、言ってなかったかしら?お義母様が必要としている臓器は、心臓なのよ?」



「初耳です・・・。」



マジかよ!!!



(そりゃ、心臓取られた方は、自動的に死ぬしかないよ!!)



肺や肝臓ならともかく、心臓は死ぬね!!



(だがこれはラッキーだ!!)



心臓手術を受けることがわかった事ではない。



(檜扇湖亀に直接会えるということは、奴を人質にして、瑞希お兄ちゃんとここから脱出できる道が出来たということ!!)



相手は、警察も警視庁も政治家も勝てない皇族だ。

しかも、こっちを殺す気でいるんだったら、私も手加減なんてしてられない。



(やらなきゃ、やられる!!)



「蓮君、一緒にお義母様に会いに行きましょう。」
「わかりました、未子さん。」








笑顔でうなずけば、相手も満足そうに笑う。
さっと檜扇未子が立ち上がり、ドアへと向かう。
私も自分の力で立ち上がり、身体の力をわざと抜く。
相変わらず、私の両脇を拘束する力は強いが、こちらが抵抗していない態度は見せておいた方が得策だ。
そんな思いで応接室から出て、元皇族の後をついて歩く。
勝負はここからだ。
そう思いながら、穏やかに歩く演技を続けた。











~敵の驚愕の正体判明!!最強ヤンキーは絶対服従しない!!~完~















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