彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)

◇鼓舞せよ!!一か八かの賭け!!◇




最初、そこが檜扇湖亀の病室だと気づかなかった。
目印となっている、親戚集団が病室の前にいなかったからだ。








(あ・・・面会時間を過ぎてるから、いなくて当然か・・・。)



「いつもは面会時間を過ぎても、団子になってつるんでるのよ。」
「え?」








そう言ったのは、元皇族の女。








「柊護から聞いたわよ。金目当ての親族達に、蓮君は何度もからまれてるんでしょう?」
「あ、ああ、まあ、はい・・・。」
「邪魔だから、今夜は帰らせたの。私に逆らえる奴なんていないからね。」
「・・・すごいですね。」
「ホント、困っちゃうわ~!私に媚びてくる奴らをあしらうのって、大変なのよね~!」
「未子さん、人気者なのですね。」








まんざらでもない顔で言う相手に、笑顔を作って答える。








(胸くそ悪!!こんな女に媚びを売ろうって時点で、人間として終わってるわ!!やっぱり、鳥恒先生の話の方が正しいわ。)








腹の底で悪態ついていれば、元皇族がドアをノックした。








コンコン!








「夜分に失礼します、お義母様!未子です!入りますね~!」








そう言いながら開けたドアの隙間から見えたのは―――――――――――――








「どうしたの、未子ちゃ――――――――蓮ちゃん!?」
「え!?蓮君!?」
「み、未子!なんでお前が凛道蓮と一緒なんじゃ!?」
「あれ、未子ちゃんどうしたの~?」
「どうして蓮クンを大伯母様の元に連れて来たんだ!?」
「何を企んでやがる!?」








部屋には、檜扇湖亀と檜扇達比古と高野代佳子と高野舟槙と高野槙雄がいて、私の姿を見て驚いた。








(夫であるジジイがいるのは矛盾がないが、高野家の人間・・・高野槙雄は追い出されるって話だったのに・・・なぜいる?)








〔★病室に、イレギュラーが存在した★〕








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