彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
私が疑問に感じたことは、元皇族も同じだったらしい。
わざとらしく小首をかしげると、大きな足音を立てながら檜扇湖亀の弟に近づいた。
「あら~・・・どうして、追放されたはずの高野槙雄さんいるんですか~?」
「い、いたら悪いのか!?そもそも、追放って言い方がよくな――――――――!!」
「静かにして槙雄!!未子ちゃん、どうして蓮ちゃんと一緒なの!!?」
「うふふふ~お義母様、お加減はいかがですか~!?」
「未子ちゃん、茶化さないで答えてちょうだい!!どうして蓮ちゃんがいるの!?」
「じ・つ・は~お見舞いの品ならぬ、お見舞いに良い人間として、連れてきましたの~」
そう言うなり、私に近寄ってくる檜扇未子。
それにあわせ、私を拘束していた男達が離れた。
代わりに、元皇族が私の腕を組んで、老女のいるベッドまで引っ張って行った。
「未子ちゃん!!蓮ちゃんを連れてきてくれたの!?」
「はい!今~蓮君と瑞希君のドナーのための血液検査の結果待ち中なんですよ~♪」
「なんですって!?」
「なんじゃと!?」
「なんだって!?」
「なんだと!?」
ドヤ顔をする檜扇未子に、5人の顔つきは2つに分かれた。
檜扇家は歓喜の表情、高野家は、高野代佳子以外は絶望の表情。
「未子ちゃん、あなたって子は・・・なんてすばらしいの!!」
「でかしたぞ、未子!!」
「当然ですわ、お義母様、お義父様♪」
ドヤ顔で私を前へと突き出す・・・檜扇湖亀の方へ押しやる元皇族。
「お義母様のためなら、どんな願いでも叶えますわ!!お義母様は愛する二三人君を産んでくれたお方♪親孝行しますわ♪」
「ありがとう、未子ちゃん・・・!!私は三国一の幸せ者だわ・・・!!」
「幸せになりましょう、お義母様!!幸い凛道蓮君が、私と二三人君の愛のきずなに感動して、心臓の提供を承諾してくれたんですから!!」
「え!?本当なの、蓮ちゃん!!?」
「えらいぞ、蓮!!」
「はい、ありがとうございます♪」
(ばーか!適合すればの話だが、100%あわねぇーよだ!!)
達比古教授たちに、小動物モードで笑顔を振りまきながら、内心では悪態をつく私。