彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)








「お願いします、大伯母様!!父の罪は僕が償います!!だから、父はともかく、祖父は追い出さないで下さい!!大伯母様のお側においてください!!」








真っ青な顔になる高野槙雄と、泣きながら訴える高野舟槙。
そんな祖父と孫に、檜扇湖亀は言った。








「馬鹿な子達ね・・・。」
「姉さん!!?」
「大伯母様!!?」
「高野家の人間追放は、気の短い主人が独断で決めたこと・・・私がお願いをして、撤回してもらいました!!」
「え!?正気ですか、お義母様!?凛道蓮君を殺そうとした男の親と子ですよ!?」
「ああ、わしもそう言ったんだが・・・湖亀が聞かなくてなぁ~・・・」








ギョッとする元皇族に、義理の父がため息をつく。








「人間だれしも、1度は罪を犯すものです。」








言ったのは、檜扇湖亀だった。
しわだらけの手で、自分の膝にうずくまっている高野舟槙の頭をなでながら、とてもやさしい声で言った。








「舟槙は、柊護同様、孫同然の可愛い子。槙雄は私が子守をして育てた唯一の肉親。長月の更生に力を尽くすことが、一族のきずなを強め、みんなで仲良く暮らしていける秘訣だと私は思ったの。」
「お義母様!!なんて慈悲深い!!」
「お金が原因で起きた事件なら、お金で解決しましょう。それでこの話はお終いよ。」
「素敵ですお義母様!!優しすぎます!!馬鹿亭主まで許すなんて!!」
「さすが、私が尊敬するお義母様だわ!!」
「ありがとう、姉さん!!バカ息子は俺がしっかり躾し治すから!!」
「僕も、お父さんを支えます!!そして、これからも大伯母様をお守りします!!」
「やれやれ・・・湖亀にはかなわんよ。まあ、そこに惚れたんだがね。」
「ほほほ・・・私も惚れておりますよ、旦那様。みんな大好きよ。」



(・・・・なんだこれ・・・・・・)

私は・・・・・・何を見せられているんだ・・・・?

(茶番だ・・・・・三流の茶番を見せられてる気分だ・・・)

私が素直に感動できないのは、きっと私が被害者だから。

加害者の傷の舐めあいを見たって、少しも心は動かない。







(むしろ冷めた・・・絶対、瑞希お兄ちゃんの心臓は渡さん・・・!!)








〔★凛は決意を新たにした★〕









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