彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「聞いたでしょ、蓮君!?お義母様は、お心の広い自愛のお方なのよ!!」
「そ・・・そうですね~僕、感動のあまり、上手く言葉が出てこないなぁー・・・」
「蓮君は幸せ者よ!!私と二三人君の愛を理解できただけでも幸運なのに、最期にお義母様の慈愛に満ちた姿を見て天国に行けるのだから!!」
(ああそう・・・凛道蓮は、死んだら天国に行けると思ってんのか、この人・・・。)
素直に喜べないのは、私が被害者だからだろうな・・・。
「だから最期に!!蓮君に聞かせてあげてお義母様!!私、二三人君にとって、どんな女性ですか!?」
「ほほほ!!もちろん、息子にはもったいない最高のお嫁さんよ!!世界で一番二三人にふさわしい妻で、一番私が愛している愛娘よ~!!」
「嬉しい!!私もお義母様が大好き!!」
そう言って、年甲斐もなく老女に抱き着く中年女。
(私は・・・本当に何を見せられているのだろうか・・・)
〔★仲良し義親子のやり取り、凛の心は氷点下を記録した★〕
何が悲しくて、クソ共の・・・凛道蓮が死ぬのが決定事項でやり取りしてるゴミクズ共の芝居を見なきゃなんないわけ?
(そろそろ、この茶番を終わらせるか・・・。)
「おばあちゃん、僕のことはどう思ってますか?」
「え!?蓮ちゃん!?今、私をおばあちゃんと・・・!!?」
「ねぇ~僕のことは愛してるの~?ばあば~?」
小首をかしげながら聞けば、檜扇湖亀の目の色が一瞬変わる。
完全に、してやったり!!という勝ち誇ったものだった。
しかし、すぐにほんわかとした目にと笑みを作ると、両手を私に広げながら言った。
「もちろん愛してるわ、蓮ちゃん!!ばあばは、蓮ちゃんが愛しいわ~♪」
「やったー♪僕も、最期に大好きなばあばに会えて幸せ~♪」
「蓮ちゃん♪」
「ばあば♪」
うふふ♪あはは♪と私達は笑いあうと、私を拘束していた男達が、私から距離を取って離れる。
それに合わせて、私は両手を広げているばあばにかけよる。
私のこの行動で、ばあばから離れ、抱きしめやすいような立ち位置に移動する檜扇未子。
微笑ましい表情になる檜扇達比古。
恨めしそうな表情の高野家の2人。