彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「ばあばー♪」
「愛しの凛ちゃーん♪」
美しい祖母と孫の抱擁――――――――――――
シュバ!!
ごきっ!!
「ぐえ!!?」
「よし。」
「「「「えっ!?」」」」
・・・には、ならなかった。
しなかった。
ばあばに近づいた私は、素早く背後をとると、手錠のかけられた両手を老女の首に引っ掛けて、思いっきり〆落とした。
ガク!!
「うん、手錠されてても、スリーパーホールドできるもんだな。」
〔★凛のプロレス技は成功した★〕
「はああ!?ちょ、ちょ、ちょっと!!ちょっと蓮君!!お義母様に何してるの!?」
「はい、今のは、スリーパーホールドという技です。」
「違うわよ!!かけた技の名前聞いたわけじゃないから!!そうじゃないから!!」
「れ、れ、蓮、お前!!湖亀に、わしの妻に何をする!?湖亀、大丈夫か!?」
「あ、大丈夫です。意識失わせただけなんで。」
「そういうこと聞いとるんじゃねぇよ!!なんで姉さんを気絶させた!!?感動の祖母と孫の抱擁を、するんじゃなかったのか!!?」
「はあ?誰がクソババアの孫?」
「未子ちゃんと私が尊敬する義母を、クソババアですって!!?」
「れ・・・蓮クン・・・まさか・・・!?」
泣き止んだ高野舟槙が、わなわな震えながら言った。
「だ、だましたのか!!?」
「そうですが、なにか?」
「「「「「貴様ァ――――――――――――!!!」」」」」
質問に回答すれば、声をそろえて叫ぶ5匹。
「なんだよお前ら。ケンカしてた割には、息ピッタリじゃねぇーか。」
「何開き直ってんのよ!!お義母様から離れなさい!!」
「そりゃあ、条件次第だな。」
「なんですって!!?」
「れ、蓮!!何が目的だっ!!?」
「簡単だよ、女ったらしのジジイ。今すぐこの場に、無傷の真田瑞希様を連れて来い。でないと、お前の女房の檜扇湖亀の心臓の臓器移植ができないようにする。」
「「「なっ!!?」」」
「ム、ムダよ!」
絶句する男4人をよそに、取り乱しつつも元皇族が叫ぶ。