彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「お見事です!鳥恒先生!!」
「さすが師範!!柔道家として見事だぜ!!」
老齢の武道家の攻撃を、称賛する私と可児君だったが――――――――
「こんにゃろ!こんにゃろ!!この野郎め!!!」
ゲシ!ゲシ!
フミ!フミ!
ドカ!ドカ!
「いてぇ!!いてぇよ!!」
「え!?鳥恒先生!?」
「しはーん!!?」
柔道家らしくならぬ・・・地団太を踏むように、高野槙雄を踏みつけ、蹴りを連打し、叩き始めるお坊さん。
「ちょ!?師範!!それ柔道じゃないでしょう!?」
「それがどうした!?外道に、外道で対抗して何が悪いっ!!?」
「「開き直ったー!!?」」
〔★相当恨みが深いらしい★〕
「師範!!やるなら、柔道のみで倒して下さいよ!!」
「うるさい!!わしは、こいつをつねったり、引っ張ったり、引っかいたりもしたい!!」
「じゅ、柔道の神様がご乱心だ!!凛さーん!!」
「お、落ち着いて下さい、鳥恒先生!!柔道で敵討ちをするんじゃなかったんですか!?」
「わしはそんなこと言っとらん!!リンチにしてやる~~~~!!」
「し、師範!?」
「!?鳥恒先生・・・」
そう言った顔は、泣きそうな子供の表情をしていた。
だから私も可児君も、それ以上静止するのを辞めた。
止めるのを放棄して、拳銃を握っている派手な女を見る。
「ひっ!く、来るな!!」
私に銃口を向けながら言う高野代佳子。
「・・・。」
私は無言でゆっくりと近づく。
「く、来るんじゃないよ!!撃――――――――!?」
「おせぇよ。」
ヒュン!
バシ!
「きゃあ!?」
拳銃めがけて、残っていたトンファーを投げつける。
それと同時に、猛烈ダッシュをして高野代佳子の間合いに入り込み――――――――
「おらよ!!」
バシッ!
ガッチャーン!!
グキッ!!
「ぎゃあああああああ!?」
手刀で拳銃を叩き落とせば、飛び道具は床で回る。
そして、拳銃を持っていた高野代佳子の腕をひねり上げた。
「ぎゃあ!?いたたたたた!!」
「はい、確保。」
そう告げながら、抑え込めば、派手な中年女は叫ぶ。
「ちくしょう―――――――――――――――――!!!」
「ちくしょうが『畜生』とは、自己紹介もいいところだぜ・・・。」
あごを動かして合図すれば、つなぐが寄って来て、高野代佳子をあっという間に縛り上げてくれた。
高野槙雄と高野代佳子を倒したタイミングで、関西男子はやってきた。