彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
◆ドナー争奪戦決着!!?未来につながる後始末!!◆
悪人の最後は、常にみじめなものである。
高野舟槙は、全速力で走っていた。
凛道蓮達から少しでも離れようと、逃げていた。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
(くそ!肺がいてぇ!血の味がする!)
祖父と母を置き去りにしたことに、何の罪悪感もなかった。
自分さえよければ良いのが、この男の本質。
ズルな方法で卑怯な手段を使い、札束の階段をのぼって、人生を歩んできた。
だから今回の失敗を元に、人生をリセットすることにした。
(やり直すしかない!!別の人間になって、遊んで暮らすんだ!!)
戸籍をたくさん買っておいてよかった!
偽装パスポートでドバイに飛ぼう!
金はある!!
有り余るほどの大金・・・日本の国家予算の半分はある。
その金は、大伯母と元皇族をおだててもらった分がある。
それは、大伯母が脱税した金の一部と、元皇族が両親と祖母から仕送りしてもらった日本国民の税金の一部!!
さらに俺には、外国口座にも十分な金がある!
金塊も貴金属も、隠し口座に山積みである!
おじいちゃんも知らない、暗号資産もある!!
(だから俺は、俺だけは大丈夫だ!!)
助かる!!
(俺だけ助かればいい!!)
エレベーターが使えず、階段を駆け下りる悪人。
半分まで下りたところで、誰も追って来ないのを確認して歩みを止める。
「くっくっくっ!ザマ―みろ!!」
檜扇の財産を逃したのは惜しいが、命あっての物種!!
(最後に笑うのは俺だ!!)
「タクシーを空港まで飛ばせば、飛行機に間に合う!用心して、偽装パスポートを持ち歩いていてよかった♪」
安心感から笑いがこみあげる。
ニヤニヤした表情で、再び階段を駆け下りようとした時だった。
「よぉ、そんなに急いでどこ行くのー?」
「だ、誰だ!?」
声のした方―――――――進行方向を見れば、4つの影が浮かび上がる。