彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛、なんでオメーは・・・!!」
「真田瑞希という男性はキレイです。汚れてない、穢れてない、汚くない、高潔なんです。」
「違う!!俺は――――――――!!」
「僕の言葉を、否定したかったら好きなだけ否定して下さい。僕はあなたが否定した分だけ、100倍返しで否定し返します。」
「・・・・・・凛・・・・・・・!」
瑞希お兄ちゃんの手が伸びてくる。
彼の両手が私の身体に絡みつく。
私はされるがままになった後で、瑞希お兄ちゃんの身体を強く抱き寄せる。
「ちくしょう・・・ちくしょう・・・」
私の腕の中で、悔し泣きをする瑞希お兄ちゃん。
出来る限りのことがしたくて、頭をなでたり、背中をなでたりする。
(この際――――――――――バレても構わない。)
そんな思いで、好きな人の頭を胸に押し付ける。
すると、連動するように、私の胸に顔をうずめる瑞希お兄ちゃん。
「なんであいつらと血縁なんだ・・・・なんであいつらと身内なんだ・・・・なんで真人間なおふくろが死んで、極悪人共が生きながらえてんだよ・・・!?」
自問自答しながら、私の胸で泣く好きな人。
私はただ、黙って彼の神をなで続けた。
撫でて、撫でて、撫でて。
「大丈夫・・・瑞希お兄ちゃんはあいつらとは別物です。」
慰めの言葉を伝える。
そう告げれば、ギュッと強くしがみついてきた。
「っ・・・!」
何とも言えない切ない気持ちになる。
その瞬間、魔が差してしまった。
チュ・・・!
「・・・!?」
「!?」
(しまった!!)
瑞希お兄ちゃんの額に、キスしていた。
それで瑞希お兄ちゃんが顔を上げて私を見るが――――――――
「・・・。」
無言で、私の頬に自分の頬をくっつけてきた。
(よ、良かった・・・!怒られなかった・・・。)
安堵しながらも、強烈な庇護欲をかき立てられる。
相手が拒絶しないのを良いことに私は――――――・・・・
チュ・・・チュ・・・チュ・・・
瑞希お兄ちゃんの頬に、鼻に、まぶたに、口づけを落とす。