彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「・・・。」
瑞希お兄ちゃんは目を細め、静かに私からのキスを受け入れ続ける。
(好き・・・瑞希お兄ちゃんが大好き・・・愛してる・・・!!)
慰めていたはずの気持ちが、求愛の気持ちに変化する。
触れる程度のキスを繰り返し続ければ、不意に瑞希お兄ちゃんの顔が近づく。
「「・・・。」」
交わる視線。
涙でぬれた目元と、長いまつげが妖艶だった。
キレイな顔の瑞希お兄ちゃん。
いつまででも見続けたい。
そう思って私も顔を近づける。
好きな人に顔を近づけつつも、その髪や肌にキスする行為は続けた。
チュ・・・チュ・・・チュ・・・
「・・・・・くすぐってぇ・・・・。」
ボソッと、瑞希お兄ちゃんがつぶやく。
そして、ふにゃっと子供のように微笑む。
その笑みがあまりにも魅力的で―――――――私は吸い寄せられた。
チュウ・・・!
「あ・・・。」
「ん。」
唇が重なった。
お互い見つめあったまま、口づけをかわした私達。
口づけを―――――――――――――・・・・・!!?
(キスしたっ!!!?)
口と口が離れ、吐息と一緒に声が漏れる。
「え!?」
「あ・・・?」
私達が、そのことを自覚した時、お互いの顔が離れる。
(しらふで――――――瑞希お兄ちゃんとキスしたの、私・・・!!?)
我に返った時、私は呆然とする。
キスしてきた瑞希お兄ちゃんも瑞希お兄ちゃんで、びっくりした顔をしていた。
「あん・・・?今・・・?」
「瑞希お、兄ちゃん・・・。」
呆けている人の名前を呼べば、その表情が一変する。
「っ!?わ、わりぃ!わりぃわりぃわりぃ!!お、俺!!どうかして――――――――――・・・!!?」
真っ赤になる瑞希お兄ちゃん。
「ご、ごめんごめん凛!!ごめん!!」
「い、いえ!いえ!いいえ!いいえ・・・!!」
顔が熱い。
きっと私も、瑞希お兄ちゃんと同じ顔をしてる。
(キス、してくれた。)
瑞希お兄ちゃんが私に・・・
(なんで?)
私が女って気づいて・・・いや、そんなわけはない!!
(だったら、なんで私にキスを―――――――――!!?)
「瑞希お兄ちゃん・・・?」
「わ、悪い!これ、今の!あれ!?俺何で!?」
(なんでって・・・。)
今のキス、意味がないものだったの・・・・!!?
「なんで俺、凛に―――――――――!?」
混乱している好きな人。
そりゃあそうだ。