彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
◇予期せぬ一騎打ち!?凛道蓮も菅原凛も大前進!!◇
私は眠れなかった。
眠れないまま、月曜日を迎え、菅原凛としてあゆみが丘学園に登校する。
「今日もゴミ原来てるぜ~!」
「まだ、退学しないのかよー?」
「いつ、学校辞めるか賭けない?」
「いいねー♪賭けよう、賭けよう♪」
相変わらず、全校生徒をあげてのいじめを受けるが、心ここにあらず・・・だった。
フワフワするような・・・落ち着きのない気持ち。
ボーとしてしまって、授業にもうまく集中できない。
(ノートはとれたから、時間がある時に、見直せばいいけど・・・。)
―事故だ事故!!予想外の大事故ってか~!?―
赤い顔で動揺する好きな人の姿が、何度も浮かんでは消える。
(事故、か・・・。)
初めてキスされた時、瑞希お兄ちゃんは酔っぱらっていた。
意識がちゃんとある状態で、今回はキスされたわけだけど・・・。
(なんだろう・・・・・キスって、こんなに切ないものなのかな・・・?)
ただでさえ初恋なのに・・・
ムニ!
「どないしたー??」
「え!?」
ほっぺをつままれて、我に返る。
私の頬をつまんだ相手を見れば、サングラスをずらし、普段は隠れているキレイな瞳で私を見ていた。
「ヤマト・・・。」
「今日、めっちゃ、上の空やで?いじめ、ひどいんか?」
「ち、違うよ!!全く違う!!」
真顔で聞かれ、思わず、首を横に振りながら答える。
ぼんやりしている間に時間は過ぎ、第2理科実験室で、ヤマトとのランチタイムになっていた私。
「ほんまか?本日の菅原凛は、様子がおかしいって、うちのクラスでも話題になってんで?」
「へ、へえーそうなの、ははは・・・みんな、暇人ばっかりだね・・・」
「ついに、自主退学するんやないかって、ムカつく盛り上がり方湿るから、やかましいゆーといたわ。」
「・・・ごめん。」
「凛が謝ることちゃうよ。いじめる側と、それに便乗する側、見て見にふりをするもんが悪いんやからな。」
「・・・ありがとう。」
ヤマトが静かにしゃべる時・・・たいてい、真面目な話をする時である。
サングラスの隙間から、目をのぞかせている時は、特に要注意。
こちらの挙動を観察されてると思っていい。