彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「ど、どうしたんですか!?ヘルメットしてないじゃないですか!?」
ヒュン!
「えっ!?」
私の問いにあわせて、ヘルメットを投げてよこすヘルメットマンさん。
思わずキャッチして、聞き返す。
「あ、あの!?一体何の御よ―――――――――!?」
「黙って後ろに乗ってついて来い。」
そう言って、いつも着用しているヘルメットをするヘルメットマンさん。
「あの!!僕、これから用事があるので―――――――!」
「真田瑞希に関わる連絡事項をする。早くしろ。」
「瑞希お兄ちゃんに!!?」
そうと聞いては、無視することはできない。
急いでヘルメットマンさんのバイクの後部座席にかけよると、素早く着席をしてヘルメットをかぶる。
「落ちねぇーように、ちゃんとしがみついてろ。」
「へ!?しがみ――――――――――!?」
ギュウオォ―――――――――――オン!?
「わあ!?」
バイクが急発進する。
その反動で、思わずヘルメットマンさんの身体に抱き着いてしまう私。
「す、すみません!故意に、お身体に触ってるわけじゃないです!今、タンデムを持ちますので―――――――――」
「このままでいい!ちゃんと捕まってろ!」
「えっ!?」
ギュウオオオォ――――――――――――――――――――ォオン!!
「えええええ!?ちょ!?速っ!?速い―――――――――――!!?」
発進の時点で制限速度は超えていたが、それを上回る加速をするヘルメットマンさん。
強い風圧に思わず、目を閉じて、ヘルメットマンさんにしがみつく。
こうして、行き先も告げられないまま、私はヘルメットマンさんについて行くことになったのだった。