彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
瑞希お兄ちゃんについて話があると言われて、ヘルメットマンさんこと、檜扇柊護さんについてきた私、凛道蓮。
連れて来られたのは―――――――――――
「社長、お帰りなさいませ。」
「ぼっちゃま、お早いご帰宅、なによりです。」
「おう。」
身なりの整った若い大人の男性と、品のある老紳士が出迎える、シルバー社の看板が出ている会社だった。
看板というよりも、大理石に文字が刻印されている高層ビル。
「あの・・・ヘルメットマンさん、ここって、あのシルバー社じゃ・・・?」
「俺の会社だ。しかしマジでその呼び方、直らねぇな?」
「あ!?す、すみません!!柊護社長!!」
「はっ!もう勝手にすりゃ、いいけどな。」
呆れたように言うと、先へ先へと進み始める。
反射的にあとをついて行く私。
ヘルメットマンさんが通るだけで、周りの社員達が会釈する。
それを気に留めることなく、ヘルメットマンさんはエレベーター前で立ち止まった。
すかさず、老紳士がエレベーターののぼるボタンを押した。
エレベーターが下りてくるまで待つ間、若い男性がヘルメットマンさんに話しかけた。
「社長、実は原財閥から夕食のお誘いがきております。」
「あ?今日は予定入れるなっつっただろう。延期しろ。」
「ですが、原財閥の会長が是非と仰っています。わが社的にも、大口の―――――」
「成島、オメー二度も言わせんなよ?今日は大事なゲスト招くから、予定入れるなって俺は言っただろう?」
「仰いましたが、ゲストというのは―――――――・・・・・・・」
成島と呼ばれた男性が、言葉を濁しながら私を見る。
居心地の悪さを感じながら会釈すれば、完全な作り笑いで会釈を返してくれた成島という男。
「あの少年がゲストで、よろしかったでしょうか、社長?」
「俺が連れてきてる時点でわかるだろう?いつから物分かりが悪くなった、成島?」
(え!?ゲストって、私の事なの!?)
驚く私に、別の意味で、成島という男性も驚く。